この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


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ブログの最後には実際の相談事例も載せています。
仕事のやる気がでない、集中力がなくなった、などお悩みの方はぜひご相談ください。
ページを移ると、結果は消えるので、見返したい方はスクショをとって保存してください。
後半でそれぞれの体質について解説しています。
最近では男性の更年期障害のこともいわれるようになりました。
男性更年期障害では、性に関することや、精神的な症状が多くみられます。
男性更年期障害のことをLOH症候群(late-onset hypogonadism)ともいわれることもありますが、正確にはLOH症候群は男性ホルモンが低下することによる諸症状という意味合いがあり、男性更年期障害の場合は必ずしも男性ホルモンが低下しているとは限りません。
ここでは男性更年期障害は男性ホルモンが低下した側面と、精神的な症状をあわせて考えたいと思います。
男性更年期については【メディバリー大学病院 /医師監修】様の動画がとても分かりやすいので、紹介させていただきます。こちらをみて、病院へ受診してください。



男性更年期障害の症状としては、多種多様です。
・総合的に調子が思わしくない
・関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)
・手足がこわばる
・手足がしびれたり、ピリピリする
・ほてり、のぼせ、多汗
・動悸、息切れ、息苦しいときがある
・めまい、吐き気がある
・不眠、眠りが浅い
・よく眠くなる
・いらいらする
・神経質になる
・不安感、さびしさを感じる
・つかれやすい
・頭痛、頭が重い、肩こりがある
・行動力の低下、興味が湧かない
・筋力の低下
・憂うつな気分、気分の落ち込み、涙もろい
・性的能力の衰え(勃起力が減退したと感じる、ED)
・朝立ちの回数の減少
・性欲の低下(セックスが楽しくない、欲求が起きない)
注意する点としては、気分の落ち込み、意欲の低下などの症状が男性更年期障害が原因なのか、うつ病が原因なのか、判断する必要があるということです。
男性更年期障害からくる気分の落ち込みなのか、うつ病からの気分の落ち込みなのか、ご自身では判断できないこともあるので、一度病院に受診することをおすすめします。



男性更年期障害の原因は、年齢によっても異なってきます。
前期更年期の患者さんはストレス性心身症症状の割合が多く、後期更年期から熟年期では主として男性ホルモン(アンドロゲン)減退症状がみられることが多いです。
つまり男性更年期障害は、ストレスなどによる精神症状と、男性ホルモンの低下による2つの側面から考える必要があります。
・前期更年期→ストレス性心身症症状が多い
後期・熟年期→男性ホルモン減退症状
男性更年期障害は必ずしも男性ホルモンの低下のみで起こるわけではありません。



男性更年期は一般的には40代、50代の方が多いといわれています。ただし、男性ホルモンである遊離型テストステロンは20代以降は下がっていく一方のため、30代からでも症状はみられる可能性はあります。
女性の更年期も50歳前後が一般的ですが、女性も30代後半から更年期のような症状がみられ、最近ではプレ更年期という言葉もあり、男性も女性も30代から更年期のような症状はみられます。
漢方薬は体質をもとに考えるので、年齢のことを気にせず、ご相談ください。



男性ホルモンは多くの生理的に重要な役割があります。
・性欲を維持し、射精、勃起作用
・認知力の維持
・筋肉量の増加作用
・骨形成の促進
・赤血球産生刺激効果
・抗脂肪蓄積作用(テストステロンはエネルギー消費を高め、脂肪分解を促進)
男性ホルモンが弱くなるということは、これらの働きも弱くなります。
男性更年期障害になって、太ったり、太りやすくなるようになるのは、男性ホルモンの働きが低下し、筋肉量の低下、エネルギー消費が低下し、脂肪を蓄積しやすい身体になったためと考えられます。
男性更年期障害によって、冷え性になるのは、男性ホルモンが低下し、エネルギー消費が弱くなることで、冷え性になっていると考えられます。
男性ホルモンが低下する理由に、加齢によってLeydig(ライディッヒ)細胞数が減少したり 、機能が低下したり、また加齢によって間脳ー下垂体系での機能異常が起こるともいわれています。
男性ホルモンの話をしていると、アンドロゲンやテストステロンという言葉をよく目にします。言葉の違いについて説明したいと思います。
まずアンドロゲンというのは男性ホルモンの総称です。その男性ホルモン(アンドロゲン)の成分に、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、ジヒドロテストステロンなどがあります。
このなかでも最も多く分泌されるのが、テストステロンのため、テストステロンも男性ホルモンの意味としてもよく使用されます。
アンドロゲンが男性ホルモンの総称で、テストステロンが男性ホルモンの成分の名前となっています。
アメリカなどの海外では総テストステロン値を基準にしているが、日本では総テストステロンは加齢による減少が極めて少ないため、総テストステロンの値は推奨されていません。日本では遊離型のテストステロン値が加齢とともに有意に減少するため、遊離型のテストステロン値を基準にするのが推奨されています。
遊離型テストステロン値は20代と比較すると、30代以降、年齢を経るごとに徐々に下がっていきます。
ただ検査の値と、症状の重さは相関がないという報告が多いです。
つまり、数値が低いから更年期障害といえるわけではないですし、反対にテストステロンの数値が低くなくても更年期障害の症状が重たい方はいらっしゃいます。



男性更年期障害も、女性更年期障害も50歳前後にみられることが多いですが、原因が異なります。
女性更年期障害の場合は、50歳前後にエストロゲン(女性ホルモンの1つ)の分泌が急激に低下します。女性ホルモンが急激に分泌されなくなることで、ホルモンバランスが乱れ、不調を来します。女性の場合はホルモンバランスの乱れも数年すれば落ち着き、50代後半に落ち着くことが多いです。
男性の場合は50歳前後で急激に男性ホルモンが少なくなるのではなく、30代から徐々に減少していきます。そのため人によっては不調がくる年齢が早いことがあります。また女性ホルモンの場合は、ほぼ分泌されなくなるため、数年かけて身体は慣れていきますが、男性ホルモンは年齢とともに減少していくため、区切りのつくタイミングがなく、男性更年期障害が終わる時期も個人差があり、70代まで症状に悩まれる方もいるようです。
女性:50歳前後に急激に減少する
男性:30代から徐々に減少する



男性更年期障害を漢方で考えると、気滞、気虚、腎虚の体質が考えられます。
気滞とは、気のめぐりが悪い状態のことです。
気滞はストレスや自律神経の乱れから生じます。
気滞の症状
・イライラ、怒りやすい
・気分の落ち込み、溜息
・肩こり
・胃酸の逆流
イライラ、怒りやすいときは抑肝散、さらに便秘があれば柴胡加竜骨牡蛎湯。抑うつ、不安であれば半夏厚朴湯、帰脾湯がおすすめです。



「気虚」は身体の働きが全体的に落ちている状態といえます。
「気虚」にて身体の働きが落ちると、疲れやすい、やる気が出ないなどの自律神経症状、太りやすいなどの活力低下の症状がみられやすくなります。
気虚の症状
・疲れやすい
・胃腸が弱い、胃もたれ
・やる気がでない
・太りやすい
・食欲がない
一般的には疲れやすい、やる気がでないときは、補中益気湯などをつかいます。
ただし「気虚」が根深く、「腎虚」も兼ねているときは補腎も一緒にする必要があります!



漢方での「腎」は精を蔵し、生命エネルギーの源と考えられています。
腎虚の症状
・すごくやる気が出ない
・性欲減退、精力減退、生殖機能の衰え
・火照り、のぼせ、多汗
・冷え性
・頻尿、夜間尿、尿の出が悪い
・耳鳴り
火照りには知柏地黄丸、冷えて頻尿であれば八味地黄丸が適しています。
腎をしっかりと補う必要があるときは、鹿の角、亀の甲羅などが必要になることもあります。
男性更年期障害に使用する漢方薬は、症状・体質によって異なります。症状によって、抑肝散、柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯、茯苓飲合半夏厚朴湯、帰脾湯、酸棗仁湯、知柏地黄丸、八味地黄丸、苓桂甘棗湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、釣藤散、独活寄生丸、疎経活血湯、滋腎通耳湯などをつかいわけます。
イライラ、怒りやすいのは気の巡りが悪いと考えられます。
イライラ、怒りやすいときは抑肝散がおすすめです。
イライラと便秘もあれば、柴胡加竜骨牡蛎湯がおすすめです。
不安神経症に効能効果のある漢方薬に半夏厚朴湯があります。
胸やけなどもあるときは、半夏厚朴湯と茯苓飲という胃薬があわさった茯苓飲合半夏厚朴湯が適してます。
不安、抑うつと不眠、胃腸が弱い症状がみられるときは、帰脾湯がおすすめです。
気が立って眠れない時は、気を鎮める抑肝散が適しています。
疲れているのに眠れない時は、肝の血が不足していると考えられるため、酸棗仁湯がおすすめです。
気の不足の疲労倦怠感は補中益気湯がおすすめです。
加齢により「腎」の衰えもある場合は、鹿の角、亀の甲羅、スッポンなどの動物性生薬も必要になることもあります。
また疲れやすさは、気滞から生じることも多く、気をめぐらせることで元気にある方も多いです。
ほてり、のぼせ、熱感からくる多汗には知柏地黄丸がおすすめです。
四肢が冷えやすい方は八味地黄丸がおすすめです。桂皮・附子が体を温めます。
頻尿、夜間尿があるときは八味地黄丸がおすすめです。八味地黄丸は腎を補い、温める働きによって、身体全体の水の循環を改善します。
動悸が気になるときは苓桂甘棗湯がおすすめです。甘草・大棗の甘味の生薬にて緊張を緩めてくれます。
息苦しい時は、神経が敏感になっている状態のため、桂枝加竜骨牡蛎湯にて気を鎮めます。
頭痛がみられるときは釣藤散がおすすめです。
釣藤散でも頭痛に効果が見られない場合は、さらに気を発散する働きのある清上蠲痛湯がおすすめです。
夜、涙が止まらなくなる時は苓桂甘棗湯がおすすめです。苓桂甘棗湯には甘草・大棗という甘味の生薬が入り、精神不安を和らげてくれます。
加齢による腰痛には独活寄生丸がおすすめです。
耳鳴り、聴力低下には滋腎通耳湯がおすすめです。滋腎通耳湯は腎を補い、耳周辺の気の巡りを改善し、耳鳴り、聴力低下に効能効果があります。
精力低下、EDのことを漢方では陰痿(いんい)といいます。食べ物としては、山芋、動物性の鹿の角、亀の甲羅、スッポンなどがおすすめです。



イライラ、ストレス、自律神経の気滞の症状時は、ジャスミンティー、レモン、紫蘇などの香りがの良いものがおすすめです。



腎を補う食べ物としては、ヤマイモ、さんしゅゆ、鹿の角、ヤモリ、プラセンタ、冬虫夏草、タツノオトシゴ、仙茅、肉従蓉、補骨脂、クルミ、続断、ニラ、桑螵蛸、旱蓮草、女貞子、黒胡麻、亀板(亀のお腹の甲羅)、別甲(スッポンのお腹の甲羅)などがあります。
男性更年期障害でお悩みの方で「命の母」を服用されるか悩まれている方もいらっしゃると思います。「命の母」には「命の母A」、「命の母ホワイト」、「命の母メグリビa」の3種類がありますが、いずれの内容も血のめぐりに関する生薬が多く入っています。女性の場合は、生理があるため、常に血が不足しがちで、血のめぐりの不調も生じやすい体質です。「命の母」は女性向けによく構成された商品です。それに対し、男性は生理がないため、血が足りないということは少ないです。また筋肉量もあるため、女性よりも身体の気血のめぐりがよく、血の巡りに問題があることも少ないです。男性でも血の量の不足、血のめぐりに問題がある方が服用すれば効果があると思いますが、そうでない方は体質として合わないことが多いと考えられます。
30代男性。最近やる気がでない。朝が起きられない。精力も落ちてきている。
やる気や精力も落ちているため、腎を補う漢方薬をつかいました。
3か月後にはやる気もでて、精力も回復してきたとのことです。
その後はご自身の調子にあわせて、漢方薬を服用され、2,3か月に1回のペースで当店に相談にきています。
60代男性。今までに比べると極端に元気がでなくなった。お手洗いの回数も近く、夜間にも何度も起きる。
かなり元気が落ち込んでいる様子で、頻尿の傾向があり、腎を補う漢方薬を中心に使いました。
服用後、半年後には元気がでて、外出できるようになりました。尿の回数も減ったとのことです。
服用していた方が調子がいいため、現在も続けていただいています。
40代男性。仕事のストレスもあり、イライラしやすく、倦怠感が強い。火照りやすい。
腎虚からの火照りと、気滞からのイライラがみられたため、2種類の漢方薬服用していただきました。
半年後には、火照りも気にならなくなり、イライラも緩和されました。
50代男性。仕事のへの集中力が低下していることを気にされている。少しうつっぽいような気がする。
集中力の低下も腎虚が関係していると考えられ、腎を補う漢方薬をつかいました。
1年ほどかけ、仕事の以前の集中力に戻り、働かれています。気分も前向きになり、喜んでいただけました。精力も元気になりました。
服用している方が調子がいいため、現在も続けてられています。
男性更年期でお悩みの方はぜひご相談くださいませ😊


