腹水を改善するための漢方薬の選び方とその使い方

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西山光です
目次

腹水とは?

腹水とは、お腹に体液が貯まった状態のことをいいます。

ただの水ではなく、たんぱく質などを含んだ体液が貯留します。

肝硬変、腹膜炎、ネフローゼなどの疾患によって腹水がみられることがあります。

対応としては利尿剤やお腹に針を刺し、腹水を出す方法などがあります。

腹水を漢方でみると?

水滞・痰飲

腹水は、広い意味合いではむくみの1つと捉えることができます。

お腹にたまった浮腫です。

漢方では水がたまった状態のことを水滞や痰飲などといいます。

腹水(お腹の浮腫)に対する漢方薬を服用する場合でも、水をめぐらせることが第一になります。

気虚

腹水、浮腫みはお腹に水がたまっている状態ですが、なぜ水が溜まるのでしょうか?

原因の1つに気虚があります。

気が元気の気で、身体の働きをあらわします。

気虚というのは、身体の働きが弱っている状態のことです。

気虚になると、身体にたまる余分な水を追い出すことができなくなるのです。

水がたまるときは、水を出すだけでなく、気を補うケアも必要なときがあります。

気を補うことで、必要のない水を排出する力をつけることができます。

腹水につかう漢方薬は?

腹水、お腹の浮腫につかう漢方薬に、分消湯と補気建中湯があります。腹水の初期で、まだ元気があり、便秘がちな方は分消湯が適し、難治性の疾患の末期で、元気がない方には補気建中湯が適しています。

分消湯(ぶんしょうとう)

分消湯の効能効果は体力中等度以上で、尿量が少なくて、ときにみぞおちがつかえて便秘の傾向のあるものの次の諸症:むくみ、排尿困難、腹部膨満感です。

分消湯には水をめぐらせる生薬が多く入っています。

水に対する生薬の種類は、蒼朮・白朮・茯苓・猪苓・沢瀉・大腹皮・灯心草の7種類も入っています。

分消湯は水を追い出すことを中心に考えられています。

枳実・厚朴・木香・縮砂が気をめぐらせる働きがあり、お腹の張りを緩和します。

水をめぐらせる攻める漢方薬のため、「体力中等度以上」の記載があります。

腹水の初期、体力もあり、やや便秘傾向のある方は分消湯が適しています。

補気建中湯(ほきけんちゅうとう)

補気建中湯の効能効果は体力虚弱で,胃腸が弱いものの次の諸症:腹部膨満感,むくみです。

補気建中湯は、「体力虚弱」と記載されています。

補気建中湯は水に対する生薬だけでなく、気を補う生薬も入っていることが特徴的です。

水に対する生薬は白朮・茯苓・沢瀉の3種類です。分消湯と比べても、水に対する生薬の数は少ないです。

気を補う生薬として人参が入っています。

人参は補気薬の代表的な生薬です。

人参が気を補うことで、水を追い出しやすくなるように助けてくれます。

人参が気を補うので、「体力虚弱」な方に適した漢方薬です。

難治性疾患の末期で、元気がない方には補気建中湯が適しています。

分消湯と補気建中湯の違いは?

分消湯と補気建中湯の違いは、気を補う働きがあるかどうかです。

体力が弱っている方の腹水には、気を補いつつ、水を出す働きのある補気建中湯が適しています。

比較的体力もある方の腹水には、水をめぐらせる生薬が多く入った分消湯の方が適しています。

どちらが優れているということはなく、お体の状態に合った漢方薬を使用する必要があります。

また浮腫みを押したときにすぐに凹みが戻るときには分消湯、浮腫みを押したときに凹んだままで戻らないときは補気建中湯がいいといわれます。

分消湯と補気建中湯の違いは?分消湯
水を追い出す生薬と
気を補う構成
補気建中湯
水を追い出す生薬を
中心とした構成
浮腫を押すと
凹みがすぐに戻る
浮腫を押すと
凹んだままで戻らない
腹水の初期、比較的体力のある方向け
難治性疾患の末期、
元気のない方向け

それでも改善しないとき

腹水でもアルブミンの低値からくる場合はアルブミンを補っていく必要があります。

また疾患の末期で極度に体力を低下している場合はさらに気を補っていく必要があります。

補気建中湯に人参は3g入っていますが、それだけでは追いつけないほど弱っているときは気虚に対する漢方薬を足して服用することもおすすめいたします。

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