生理が長引く、ダラダラ出血が続くときの漢方薬の考え方と体質、食事について

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上

店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です
目次

生理が長引く、だらだら続く

正常な生理期間は、3~7日です。平均すると、生理期間は5日程度とされています。

生理の日数が2日以内と短いときは、「過短月経」といい、その反対に生理の日数が8日以上と長いときは「過長月経」といいます。

生理の日数が2日以内→過短月経
生理の日数が8日以上→過長月経

生理日数は長くても良くないですし、長くても良くないです。

また、経血量でいうと総出血量が20ミリリットル以下と少ない生理を「過少月経」、総出血量が140ミリリットル以上と多い生理は「過多月経」といいます。

出血量が20mL以下→過少月経
出血量が140mL以上→過多月経

過長月経の詳しい説明についてはこちらのサイトを参考にしてください→

漢方において、生理期間が延びる要因、生理量が多い要因について説明します。

生理日数が長引くことは生理不順に含まれるため、生理不順の効能効果のある漢方薬について説明しています。

生理が長引く原因、理由は?

生理が長引く、だらだら続く原因として、漢方では肝腎陰虚(生理血の色が薄い、生理時の腰痛)、肝火(いらいら、おこりっぽい)、脾気虚(胃腸が弱い、軟便)、衝任虚寒(冷えが強い、温めるとマシになる)、湿熱下注(黄色い帯下、舌の苔が黄色)などの体質が考えられます。

生理の出血がだらだら続くときは、大きく分けると2つあり、身体にいらないものが溜まっているときと、身体が弱っているときです。

身体に熱や湿熱があると、それを排出しようと生理が終わりにくくなります。いらないものが溜まりにくいような体作りが必要です。味の濃い食べ物、脂っこい物、辛い物は避けることをおすすめいたします。

身体が弱っていると、血を止めようとする働きが機能しなくなり、生理の出血がダラダラ続くようになります。気虚体質の方は優しい甘味に食べ物がおすすめです。お米も玄米よりも白米をおすすめします。

生理不順に使う漢方薬は?

生理不順(生理が長引く)の漢方薬に、加味逍遙散、温経湯などがあります。

肝腎陰虚

肝腎陰虚は肝・腎が消耗している状態です。

慢性病や、陰虚の体質、肝陰・腎陰の消耗によって起こります。

肝腎が消耗することで、身体が熱に偏り、熱を排出するために生理が長引きやすくなります。

・生理周期が早い
・生理量が多い、生理期間が延びる
・生理痛はそこまで痛くない

・イライラ
・不眠
・腰、ひざがおもだるい
・便が固い

これらにあてはまるときは肝腎陰虚の体質の恐れがあります。

肝と腎をしっかり養う漢方薬をつかいます。

肝火

イライラ、ストレス、不満などがたまり、肝鬱化火、怒りがつよく、肝火が生じ、血に熱をもった状態です。

肝は気のめぐりを調整しており、気の滞りが強ければ熱となります。

熱を排出するために、生理が長引きやすくなります。

・生理周期が早い
・生理量が多い、生理期間が延びる
・生理血に血の塊
・怒りっぽい
・胸が張る
・頭痛
・便秘

これらにあてはまるときは肝火の体質の恐れがあります。

肝気の鬱滞が一番の原因になるため、肝気をめぐらせる加味逍遙散をつかいます。

加味逍遙散

加味逍遙散(かみしょうようさん)逍遙散に山梔子・牡丹皮が加わったものです。

逍遙散は気血のめぐりを改善する代表的な漢方薬で、婦人科でも頻用の漢方薬です。柴胡・薄荷が気をめぐらせ、当帰が血を養ってくれます。

加味された山梔子(さんしし)・牡丹皮(ぼたんぴ)はどちらも清熱・涼血の生薬であり、過剰な熱を冷ましてくれます。

加味逍遙散は熱を冷まし、気血のめぐりを改善し、生理不順につかう漢方薬です。

脾気虚

脾というのは漢方において、消化吸収をつかさどる臓です。

脾が弱ければ、食べ物から栄養を吸収することができず、気血を養うことができなくなります。

気には固摂という、ものを留める働きがあります。気虚になると、血を留める働きが弱くなり、生理時に出血が長引きやすくなります。

・生理周期が早い
・生理量が多い、生理期間がのびる
・生理血がうすい
・けん怠感、元気がない
・汗をかきやすい
・食欲不振
・軟便
むくみ

これらにあてはまるときは脾気虚の可能性があります。

脾の気をつよく補う必要があるため人参などをつかった漢方薬をつかう必要があります。

衝任虚寒

陽虚という身体を温める力が弱い体質や、出産過多、生理中に生もの、冷たいものの摂取、雨にうたれて体が冷えたりすると起こりやすくなります。

身体が虚して、弱っているところに冷えが入り込むため、冷えに関する症状が多くみられます。

・生理周期が遅れやすい
・生理量が多い、生理が長引きやすい
・生理血がうすい、血の塊がある
・生理時に下腹部が冷え、温めると改善する
・手足の冷え
・腰、ひざがだるく、冷える
・軟便

これらにあてはまるときは衝任虚寒の恐れがあります。

虚しているものをしっかり補い、寒冷を追い出す温める温経湯などの漢方薬をつかう必要があります。

湿熱下注

湿邪という身体の湿気と、熱があわさることでおこる不調です。

日本は高温多湿の気候で、最近は食事も味が濃くなってきており、湿をため込みすい環境となっています。

・生理周期が早い
・生理量が多い
・生理血が粘稠で臭いがある
・腹がつかえる

これらにあてはまるときは湿熱の体質の可能性があります。

湿熱を追い出す、少し苦みのある漢方薬をつかう必要があります。

友だち追加
目次