灯心堂漢方薬局

【漢方】耳鳴りの原因9つ~滋腎通耳湯と柴蘇飲の違いは何?~

耳鳴とは?

音がしていないのに、自分だけに音が聞こえる現象を”耳鳴”といいます。

 

キーンという高音から、ジーンという低音の耳鳴りがあり、人によって音は異なります。

 

数秒の耳鳴りは一過性のものなので問題ありません。

 

耳鳴のメカニズムはまだよく分かっていませんが、難聴も一緒に併発することもあります。

 

耳鳴の音が高音だと高音が聞き取りづらくなり、耳鳴の音が低音だと低音が聞き取りづらくなることが多いです。

 

難聴を伴わないときは、更年期障害や高血圧、低血圧、高脂血症、心因性のこともあります。

 

耳鳴りは様々な治療法が試みられていますが、完治が難しい病気です。

 

耳鳴りにつかう漢方薬は?

耳鳴りにつかう漢方薬の代表的なものに滋腎通耳湯と柴蘇飲があります。滋腎通耳湯は補う働きと耳鳴の原因の熱を発散する性質があるのに対し、柴蘇飲は気をめぐらせることに特化しています。

 

滋腎通耳湯

滋腎通耳湯(じじんつうじとう)の効能効果は「体力虚弱なものの次の諸症:耳鳴り,聴力低下,めまい」です。

 

滋腎通耳湯は補う働きと、耳鳴りの原因の熱を冷ます働きがあります。

 

滋腎通耳湯には地黄(じおう)という、腎を補う生薬が入っています。

 

漢方では耳と腎はつながっており、地黄が腎を補うことで、耳を補うことにつながります。

 

腎を補うことで、身体が弱ることで起こる耳鳴りに対応しています。

 

また黄芩・知母・黄柏の熱を冷ます生薬も入っています。

 

耳鳴りの原因は熱からくることも多く、熱を冷ますことで耳鳴りを改善します。

 

他にも柴胡・香附子・白芷が入り、気をめぐらせる働きがあります。

 

とくに柴胡は耳周りの気のめぐりを改善することで、耳の働きを改善します。

 

滋腎通耳湯は腎を補い、熱を冷まし、気をめぐらせるという3つの働きから耳鳴りに効能効果を発揮します。

 

柴蘇飲

柴蘇飲(さいそいん)の効能効果は「体力中等度で、ときに脇腹(腹)からみぞおちあたりにかけて苦しく、やや神経質で気鬱傾向を認めるものの次の諸症:耳鳴り、耳閉感」です。

 

柴蘇飲は柴胡・香附子・陳皮・蘇葉といった気をめぐらせる生薬が複数入っています。

 

気の鬱滞が耳鳴りの要因になることもあります。

 

柴蘇飲は気の鬱滞からくる耳の不調に適しています。

 

そのため効能効果にも、「神経質」、「気鬱傾向」と記載があります。

 

滋腎通耳湯と柴蘇飲の違いは?

滋腎通耳湯は補う、冷ます、めぐらせる働きがあり、幅広く対応できるのに対し、柴蘇飲はきをめぐらせることに特化している。

 

滋腎通耳湯は腎を補う、熱を冷ます、気をめぐらせることで耳鳴りに効能効果を発揮します。

 

そのため滋腎通耳湯は幅広く、体力虚弱で耳鳴りがあれば使用することができます。

 

それに対し、柴蘇飲は気のめぐりに特化した漢方薬です。

 

神経質、気鬱傾向がある方で耳鳴りがれば柴蘇飲が適しています。

滋腎通耳湯
気をめぐらせる生薬が
多く入っている
柴蘇飲
腎を補う、熱を冷ます、
気を巡らせる生薬
生薬の幅が広いため、
耳鳴りに広く使用できる
気の鬱滞からくる
耳鳴りに特化
虚弱体質の耳鳴りであれば
幅広くつかえる
神経質、気鬱傾向の
耳鳴りに使用できる

滋腎通耳湯と柴蘇飲の違いは?

 

 

 

耳鳴の漢方での原因は?

耳鳴の要因から風熱、肝陽、肝血虚、腎虚、脾胃気虚、痰火、気滞血瘀が考えられ、苓桂朮甘湯、当帰芍薬散、牛車腎気丸、八味地黄丸、柴蘇飲などがあります。

・水飲(めまい、耳鳴)

・気滞(神経質、気鬱、耳閉感)

・風熱(頭痛、風が吹くような耳鳴)
・肝陽(張っているような頭痛)
・肝血虚(目の乾燥、髪・爪の荒れ)
・腎虚(加齢、蝉の鳴き声のような耳鳴)
・脾胃気虚(胃腸が弱い、軟便)
・痰火(舌の苔が黄色、胸が張って苦しい)
・気滞血瘀(イライラ、胸脇の張り)

耳鳴を起こしやすい体質は多く、上記の体質から耳鳴について考えたいと思います。

 

 

水飲

水飲が停滞することで、耳鳴、めまいが生じやすくなります。

 

水飲が気血のめぐりを邪魔することで、陽気のめぐりが悪くなり、耳鳴、めまい、むくみとなります。

 

過剰な水分を追い出す漢方薬に苓桂朮甘湯、当帰芍薬散があります。

 

苓桂朮甘湯の桂皮が陽気を補い、水飲のめぐりを助け、耳鳴り、めまいを改善します。

 

当帰芍薬散には沢瀉、茯苓、白朮が入り、水分を追い出し、むくみをとります。当帰という血を養う生薬も入り、女性のむくみもある方に向いています。

 

 

気滞

耳の近くは少陽胆経(しょうようたんけい)という経絡が通っています。

 

少陽胆経の流れが悪くなると、耳へ気血が行き渡らなくなり、耳鳴、耳閉感へとなります。

 

この少陽胆経は、精神症状と気のめぐりをコントロールする厥陰肝経(けっちんかんけい)と表裏をなしています。

 

そのためやや神経質であったり、気鬱があることで、耳へも影響を与えます。

 

耳の近くの経絡のめぐりの改善と、精神的な疲れ、気の鬱滞を晴らす漢方薬に柴蘇飲があります。

 

柴蘇飲の柴胡・紫蘇が気のめぐりを改善し、耳鳴、耳閉感に働きます。

 

 

風熱

風熱が肺に入り込み、それが頭へも影響を与え、耳鳴となります。

・風が吹くような耳鳴
・耳閉感
・鼻閉
・鼻水が多い
・頭痛
・発熱

これらにあてはまるときは風熱による耳鳴の可能性があります。

 

風熱を追い払う漢方薬をつかう必要があります。

 

 

肝陽

ストレス、いらいらなどから肝気のめぐりが悪くなります。

 

肝気が上逆し、頭へ影響を与えると耳鳴となります。

・突発性の難聴と耳鳴
・雷、波の音のような耳鳴
・耳が張って痛む
・顔面紅潮
・不眠

これらにあてはまるときは肝陽が高ぶっている可能性があります。

 

肝陽を鎮め、肝腎の虚もみられるときはそれを補う漢方薬をつかう必要があります。

 

慢性的な頭痛も一緒にみられるときは釣藤散が適しています。

 

釣藤散の釣藤鈎・菊花が肝陽を鎮めてくれます。

 

 

肝血虚

生理や慢性病、手術、出血によって陰血を消耗してしまい、耳鳴となります。

・蝉の鳴き声のような耳鳴
・聴力減退
・めまい
・多夢
・目の乾燥

これらにあてはまるときは肝血虚の体質の可能性があります。

 

不足している肝血を養う漢方薬をつかう必要があります。

 

 

腎虚

腎は耳と深く関連があります。

 

腎は加齢とともに衰える臓であり、耳も加齢とともに弱くなっていき、耳鳴となります。

 

ご年配の方で耳鳴が多いのは、こちらのタイプの耳鳴です。

・蝉の鳴き声のような小さい音の耳鳴
・次第に聴力も低下
・頭のふらつき
・めまい
・ほてり
・寝汗
・寒がる
・手足の冷え

これらにあてはまるときは腎虚の体質の可能性があります。

 

腎虚からの耳鳴の漢方薬に滋腎通耳湯があります。

 

加齢による耳鳴りには滋腎通耳湯がおすすめです。

 

 

脾胃気虚

脾胃というのは漢方において消化吸収をつかさどる臓腑です。

 

脾胃が弱く、栄養をしっかり取り込むことができず、気血を頭まで持ち上げることができないために耳鳴となります。

・疲労によって耳鳴が悪化
・けん怠感
・食欲不振
・食後の腹満
・軟便

これらにあてはまるときは脾胃気虚の体質の可能性があります。

 

脾胃を補う漢方薬をつかう必要があります。

 

 

痰火

痰というのは漢方の世界では水飲が停滞し、粘性をもつことで痰湿となります。

 

粘性をもった痰湿はヌメリとして体の気血のめぐりを邪魔し、耳鳴となります。

・ゴウゴウ鳴って聞こえづらい
・耳閉感
・頭のふらつき
・頭重感
・胸が張って苦しい
・咳、痰が多い
・黄膩苔

これらにあてはまるときは痰火が体内にとどまっている可能性があります。

 

痰火を追い出す漢方薬をつかう必要があります。

 

 

気滞血瘀

ストレス、悩みごとなどで気のめぐりが悪くなると、血のめぐりも悪くなります。

気血のめぐりの悪さから耳鳴となります。

 

・突発的な難聴、耳鳴
・頭のふらつき
・頭痛
・いらいら
・胸脇の張り

これらにあてはまるときは気滞血瘀の体質の可能性があります。

 

原因となっている気と血のめぐりを改善する漢方薬をつかう必要があります。

 

 

耳鳴りの相談事例

耳鳴りのご相談。耳鳴りでお悩みとのことのため、幅広く使用できる耳鳴りの漢方薬をご提案いたしました。

 

「2年程耳鳴りがあり、耳鼻科で処方された薬では治まらなくなり、こちらを知り漢方薬を送って頂きました。身体もバテ気味だったのですが、調子も良くなり耳鳴りも小さくなって、あまり気にならなくなりました。私の場合3日目くらいから実感しました。丁寧な対応で迅速かつ安心しました。ありがとうございました。」

 

 

 

コメントは受け付けていません。

特集

〒564-0063
大阪府吹田市江坂町2-6-14-202池上第二ビル

06-6192-3020

営業時間 / 月・水・木・金 10-19時 土10-14時
定休日 / 火曜日 日曜日