この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


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「子宮頸がんになりやすい人ってどんな人?」 「自分に当てはまるリスクがあるのか知りたい」
検診で子宮頸部異形成(子宮頸がんの前段階)と診断された方や、周りに子宮頸がんになった方がいる方から、このようなご質問をいただくことがあります。
子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染であり、性交渉の経験がある女性であれば誰でも発症しうる病気です。「なりやすい特別な人」がいるわけではありません。
ただし、同じようにHPVに感染しても、ウイルスを排除できる人とできない人がいます。その違いを生んでいるのが「免疫力」であり、その免疫力の土台となるのが「体質」です。
この記事では、西洋医学で言われているリスク要因に加えて、東洋医学(漢方)の視点から見た「なりやすい体質」について解説します。体質は変えることができます。自分の体質を知り、整えていくことが、最も前向きな予防策であると考えています。






まず、西洋医学で指摘されている主なリスク要因を整理します。
子宮頸がんの95%以上は、HPVの持続感染が原因です。HPVは性交渉によって感染するウイルスで、性交渉の経験がある女性の50〜80%が生涯で一度は感染するといわれています。
ほとんどの方(約90%)は、自分の免疫力でウイルスを自然に排除します。しかし、約10%の方ではウイルスが排除されず感染が続き、数年〜数十年かけて異形成、そして子宮頸がんへと進行する可能性があります。
HPVを排除できるかどうかは、免疫力にかかっています。以下のような状態が続いていると、免疫力が低下しやすくなります。
免疫力の低下は、ウイルスの排除を妨げるだけでなく、異形成がすでにある方の進行リスクにも関わると考えられています。
喫煙は子宮頸がんの明確なリスク因子です。タバコに含まれる有害物質が子宮頸部の粘膜に蓄積し、HPV感染からがんへの進行を促進するとされています。喫煙者は非喫煙者に比べて子宮頸がんの発症リスクが約2倍になるというデータもあります。
子宮頸がんは20代後半〜40代に多い疾患です。近年は特に若年層での罹患が増加しています。若い世代は検診の受診率が低い傾向にあり、異形成の段階で発見される機会を逃してしまうことがリスクを高めています。



ここまで読むと、「自分にはリスク要因がいくつも当てはまる」と不安になった方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、大切なポイントがあります。
子宮頸がんは、遺伝や体質で決まるがんではありません。子宮がんの中でも体がんは肥満や高血圧などの体質的要因が関わりますが、子宮頸がんの原因はあくまでHPVの持続感染であり、遺伝的な要因はほとんど関係ないとされています。
つまり、HPVを排除できる免疫力を維持できる体をつくれば、リスクを大きく下げることができるのです。
「なりやすい体質」は固定されたものではなく、生活習慣や体質改善によって変えることができます。ここから先は、東洋医学の視点から「なりやすい体質」とその改善策について解説します。



東洋医学では、「免疫力が低い」状態をさらに細かく体質別にとらえます。同じ「免疫力が低下している」と言っても、その原因は一人ひとり異なります。
子宮頸部異形成(子宮頸がんの前段階)になりやすい体質として、漢方では主に以下の5つのタイプを考えます。
東洋医学では、ストレスや感情の抑圧が「肝」の機能を滞らせ、気(エネルギー)のめぐりを悪くすると考えます。気のめぐりが悪くなると、血のめぐりも悪くなり、子宮頸部に老廃物が溜まりやすくなります。
こんな方に多い体質です:
「子宮頸部異形成 原因 ストレス」で検索される方は非常に多く、この肝鬱タイプに該当することが少なくありません。
血の流れが滞ることで、子宮頸部に古い血や老廃物が停滞しやすくなります。東洋医学では、異形成やしこりといった病変の背景には「瘀血」があると考えます。
こんな方に多い体質です:
瘀血は異形成を持つ方に最も多くみられる体質です。当店に相談に来られる方にも、生理血の状態を確認すると瘀血の傾向が強くみられることが多いです。
体に余分な湿(ヌメリ)と熱がこもった状態です。子宮頸部に湿熱が停滞すると、慢性的な炎症が起きやすくなり、細胞の異常が生じやすくなると考えます。
こんな方に多い体質です:
体内に余分な水分やヌメリが溜まりやすく、それが子宮頸部にも影響を与えます。湿熱タイプとの違いは、「熱」よりも「冷え」を伴いやすい点です。
こんな方に多い体質です:
加齢やオーバーワーク、夜更かしなどにより体の潤い(陰)が不足し、相対的に熱が強くなっている状態です。40代以降の方や、日常的に夜遅くまで働いている方に多くみられます。
こんな方に多い体質です:
上記の5つの体質は、1つだけが当てはまるのではなく、複数のタイプが重なっていることが一般的です。
たとえば「ストレスが多く(肝鬱)、生理痛も強い(瘀血)」という方は肝鬱+瘀血の複合タイプですし、「むくみやすく(痰湿)、おりものが多い(湿熱)」方は痰湿+湿熱の複合タイプです。
以下のチェックリストで、ご自身に当てはまる項目が多いタイプを確認してみてください。
□ ストレスが多い・イライラ・PMS → 肝鬱タイプ
□ 生理痛・血のドロドロ・唇の色が暗い → 瘀血タイプ
□ おりものが黄色い・体がだるい・暑がり → 湿熱タイプ
□ むくみ・白いおりもの・甘いもの好き → 痰湿タイプ
□ ほてり・寝汗・口の渇き → 肝腎陰虚タイプ
正確な体質の判断には、舌の状態や生理の状態、日常の症状などを総合的にみる必要があります。セルフチェックはあくまで目安として、より詳しく知りたい方は漢方相談をご利用ください。



西洋医学における子宮頸がんの予防策は、主に「HPVワクチンの接種」と「定期的な検診」の2つです。これらは非常に重要であり、漢方がその代わりになるものではありません。
漢方が力を発揮できるのは、それとは別の領域、つまり「HPVを排除しやすい免疫力を支えるための体質改善」です。
具体的には、以下のようなアプローチを行います。
・瘀血(血のめぐりの悪さ)を取り除く :子宮頸部の血流を改善し、細胞の正常な新陳代謝を促します。
・痰湿(余分なヌメリ)を排出する :子宮頸部に溜まった汚れを取り除き、清潔な環境を整えます。
・肝鬱(気の停滞)を解消する :ストレスによる気のめぐりの悪さを改善し、瘀血の発生を防ぎます。
・陰虚(潤い不足)を補う :体の潤いを補い、粘膜のバリア機能をサポートします。
これらを一人ひとりの体質に合わせて組み合わせるのが漢方の強みです。同じ「異形成」でも、瘀血が強い方と痰湿が強い方では使う漢方薬が異なります。
当店で実際にご相談を受けた方の中には、漢方を服用して3ヶ月〜1年半ほどで検査結果が改善された事例もあります。まず生理血の状態が変化し(ドロドロ→サラサラ)、次第に体調全体が整っていく方が多いです。
体質改善は漢方だけでなく、日々の食事や生活習慣からも取り組めます。
積極的に摂りたい食材: 黒酢、たまねぎ、なす、青魚(さば・いわし)、にんにく、らっきょう、よもぎ
心がけたいこと: 適度な運動で血をめぐらせる。入浴で体を温める。冷たい飲食物を避ける。
積極的に摂りたい食材: ハトムギ、白菜、大根、海藻類(昆布・わかめ・ひじき)、冬瓜、豆腐
心がけたいこと: 汗をかく運動で余分な水分を出す。脂っこいもの・味の濃いものを控える。お酒を減らす。
積極的に摂りたい食材: 柑橘類(みかん・ゆず・レモン)、しそ、セロリ、春菊、ジャスミン茶、ミントティー
心がけたいこと: 深呼吸やストレッチで気をめぐらせる。香りのよいお茶やアロマを取り入れる。23時までの就寝を心がける。
積極的に摂りたい食材: 黒ごま、黒豆、山芋、クコの実、白きくらげ、梨、れんこん
心がけたいこと: 夜更かしを避ける。辛いものや刺激物を控える。無理な運動で汗をかきすぎない。
体質タイプに関わらず、子宮頸がんの予防として共通して大切なことをお伝えします。
① 定期検診を受け続けること 異形成の段階で発見できれば、がんに進行する前に対応できます。20歳以上の方は2年に1回の子宮頸がん検診を必ず受けてください。すでに異形成と診断されている方は、主治医の指示に従い3〜6ヶ月ごとの検査を継続してください。
② HPVワクチンの接種を検討すること HPVワクチンはHPV感染を予防する最も確実な方法です。ワクチンの接種については、かかりつけの婦人科にご相談ください。
③ 「体質は変えられる」ということを知ること 遺伝で決まるがんではないからこそ、体質を整えることに意味があります。食事、睡眠、運動、ストレス管理、そして漢方での体質改善──これらはすべて、HPVと向き合える体をつくるための積み重ねです。
子宮頸がんは遺伝的な要因がほとんど関係ないがんです。原因はHPVの持続感染であり、家族にがんの方がいるからといって自分のリスクが大幅に上がるわけではありません。ただし、免疫力に影響する体質的な傾向(冷えやすい、ストレスを溜めやすいなど)は家族で似ていることがあるため、生活習慣を見直すことは意味があります。
子宮頸がんは、いきなりがんになるのではなく、「子宮頸部異形成」という前段階を経て進行します。異形成には軽度→中等度→高度の3段階があり、高度異形成の一部が数年〜数十年かけてがんに進行する可能性があります。異形成はがんではなく、多くの方は免疫力で自然に正常化します。この段階で体質を整えることが非常に重要です。
漢方は異形成を直接「治療する薬」ではありませんが、異形成の背景にある体質の偏り(瘀血・痰湿・肝鬱など)を整え、免疫力をサポートすることを目指します。当店でも、漢方を服用された方が検査結果の改善を報告してくださった事例があります。経過観察中に「自分でできること」として取り組まれる方が多いです。
特定の食べ物で子宮頸がんを予防できるわけではありませんが、東洋医学では体質に合った食事が免疫力の維持に役立つと考えます。瘀血タイプには血のめぐりを助ける食材(黒酢・青魚・たまねぎ)、痰湿タイプには余分なヌメリを排出する食材(ハトムギ・海藻類・大根)がおすすめです。基本は昔ながらの和食を中心とした食生活です。
「子宮頸がんになりやすい人」と聞くと不安になるかもしれませんが、この記事でお伝えしたかったのは、体質は変えられるということです。
自分の体質を知り、それに合った食事・養生・漢方で体を整えていくことは、検診やワクチンと並ぶもうひとつの予防策です。
灯心堂漢方薬局では、お一人おひとりの体質を丁寧に確認し、体質に合わせた漢方薬をご用意しています。遠方の方にはLINEでの漢方相談も承っております。
子宮頸部異形成の漢方について詳しくはこちら: → 子宮頸部異形成を改善するときの漢方薬の考え方と体質、食事について
ストレスと異形成の関係について詳しくはこちら: → 子宮頸部異形成の原因にストレスは関係ある?
LINEで相談することもできます。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。漢方相談、漢方の選び方、ご自身の症状など、お悩みのことを教えてください。