この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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・灯心堂漢方薬局 薬局長
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漢方でのダイエットについて、ご相談いただくことが多くなってきたので、ブログにまとめました。
まず最初にお伝えすることとしては、一般的な意見と同じように「食事」と「運動」が大事です。
人間の身体は食べたものからでしか構成されていません。
身体に蓄えられるものはすべて食べたものです。
まずは低糖質・高たんぱくな食事をおすすめいたします。
次に運動です。
実は運動の消費カロリーは大したことはありません。
おにぎり180カロリーを消費するためには、ジョギングを30分しなくてはなりません。
スイーツを食べた後は、どれくらいジョギングすればいいのでしょうか。果てない時間がかかりますね。
運動を推奨するのは、消費カロリー以外の部分になります。
運動には食欲を減らす働きがあります!
ランニングや筋トレなどの運動は食欲を低下させるという報告があります。
運動することで、微弱ながらもカロリーを消費し、食欲が低下するので食べ過ぎを防ぎます。
また運動することで、ストレス発散になり、ストレスからの過食も防ぎます。
運動することで、身体が引き締まりやすくなります。
例えば同じ60kgの体重の人がいたとして、運動をしている人と、運動をしていない人では身体の引き締まり方が異なります。
ジョギングやyoutubeで家でできる筋トレなどをすることも重要です。
最後に漢方を考慮してもいいかもしれません。
痩せない原因は体質から考えることができます。
ダイエット漢方で有名なものに防風通聖散があります。
体質にあった方が防風通聖散を服用すれば効果がでますが、体質が合っていない方が服用すると余計に太りやすくなる体質になります。
また年齢によっても漢方薬を考慮する必要があります。
20代の血気が盛んな時期と、40代・50代での少し体力が弱ってきている時期とでは、使う漢方薬も異なってきます。
体質別に漢方を考えたいと思います。
体質を、「ため込み体質」「むくみ体質」「腎虚体質」の3つに分けて説明したいと思います。
たくさん食べて、身体にものが溜まっている体質です。
いわゆる一般的な肥満のイメージが「ため込み体質」です。
食欲も旺盛で、便秘がちな方は「ため込み体質」になります。
・食欲旺盛
・便秘がち
・イライラしやすい
「ため込み体質」はシンプルに溜まっているものを出す漢方薬の防風通聖散がおすすめです。
防風通聖散を一言でいえば、下剤と利尿剤があわさったものです。
防風通聖散が下剤、利尿剤として、溜まったものを出します。
副作用としては、下痢がよくみられます。
下痢になりやすい方は防風通聖散の体質と合っていないため、おすすめいたしません。
体質が合わない方が防風通聖散を服用すると、余計に体力を消耗していまい、反対に太りやすい体質になります。
防風通聖散で痩せないという方は体質が合っていないと考えられます。
たくさんため込んで、便秘がちな方だけが防風通聖散を服用してください。
このため込み体質の方は、気血が充実しているので、食事制限・ハードな運動にてダイエットをしても大丈夫な方が多いです。
水太り、むくみやすい体質は身体が気虚の傾向にある方が多いです。
気虚とは、身体全体での働きが落ちている状態です。
気の働きの1つに、身体に溜まる余分なものを吐き出す働きがあります。
つまり気がしっかり充実していれば、身体に溜まる水や脂肪、ヌメリを身体から出すことができます。
水太り、むくみには気を補いつつ、水を出す防已黄耆湯をつかいます。
防已黄耆湯には気を補う働きと、水を出す働きがあり、水太りでむくみやすい方に適しています。
・むくみやすい
・体が重い
・軟便気味
・便秘だが、下剤を服用すると下痢になる
・締まりのない身体
上記の方に防已黄耆湯が適しています。
防已黄耆湯だけでは、気を補う働きが足りなかったり、水を出す働きが弱いことも多いので、体質にあわせて、胃腸の働きを助ける漢方薬や水のめぐりを助ける漢方薬をあわせる必要があります。
防風通聖散の反対の体質になります。この体質の方が防風通聖散を服用すると、下痢しやすくなります。
防風通聖散にて気血を消耗すると、余計に気虚が強くなり、太りやすい体質になってしまうので注意が必要です。
この体質の方は気虚の傾向があるため、過度な食事制限・ハードな運動は向いていません。
過度な食事制限にて余計に体力は消耗し、ハードな運動にて気力を消耗すると、余計に気虚が進行します。
あまり食べてないのに太る、と言う方がいらっしゃいます。それは気虚の体質なのに、食事をとらないことで増々気虚となり、水をため込みやすくなってしまいます。
むくみやすい体質で肥満の方は過度な食事制限はせず、高たんぱくの食事をおすすめいたします。
激しい運動はせずに、無理のない範囲での運動はおすすめいたします。
年齢を重ねると、身体の機能が全体的に落ちてきます。
胃腸の働きが弱くなると、気が不足しやすくなり、水や脂肪がたまりやすくなります。
また漢方では加齢と「腎」が深い関係があります。
西洋での「腎臓」は水を排出する臓器ですが、漢方での「腎」は生命エネルギーの源と考えられています。
「腎」が衰えると、頻尿、腰痛、冷え、足腰が弱く、髪は細く、耳が遠く、歯が弱く、骨がもろくなっていきます。
・頻尿
・腰痛
・冷え症
まさに「腎」は老化と密接な関係があります。
腎の生命エネルギーが衰えていくことで、身体に溜まる余分なものを出す働きが弱ってきます。
全体的に臓器の働きが弱っているときは、腎の働きを助け、胃腸の働きを助けることで、身体の働きを活発にする必要があります。
頻尿、冷え、むくみがあれば、牛車腎気丸や八味地黄丸などの補腎薬と一緒に胃腸の働きを助ける漢方薬をつかいます。
防風通聖散の反対の体質になります。この体質の方が防風通聖散を服用すると、下痢しやすくなります。
防風通聖散にて気血を消耗すると、余計に虚が強くなり、太りやすい体質になってしまうので注意が必要です。
この体質の方は虚の傾向があるため、過度な食事制限・ハードな運動は向いていません。
過度な食事制限にて余計に体力は消耗し、ハードな運動にて気力を消耗すると、余計に気虚が進行します。
あまり食べてないのに太る、と言う方がいらっしゃいます。それは虚の体質なのに、食事をとらないことで余計に虚となり、いらないものをため込みやすくなります。
腎虚体質で肥満の方は過度な食事制限はせず、高たんぱくの食事をおすすめいたします。
激しい運動はせずに、無理のない範囲での運動はおすすめいたします。
次に年代別にどういった体質が多いのか考えたいと思います。
20代は血気が盛んな時期です。
女性は7の倍数で体質が変化すると聞いたことがありませんか?
「21歳、腎気がめぐり、身体が整う」
「28歳、筋骨が固くなり、髪も豊かで、身体が最も充実する」
21歳、28歳の節目から考えても、身体が充実する時期です。
つまり20代は気血が盛んになっており、虚の性質は少ないです。
身体に虚に偏っておらず、充実し、便秘傾向で、イライラしやすい方は防風通聖散が適しています。
20代は身体の気血が充実しやすい傾向にありますが、すべての人がそうではありません。
20代の方でも、むくみやすかったり、疲れやすかったり、すぐにお腹が緩くなったり、便秘でも下剤を服用すると下痢になる方は気虚の傾向があります。
その場合は防已黄耆湯を中心にし、水をめぐらせる漢方、気を補う漢方などを併用する必要があります。
身体の気血は28歳のときが一番充実しているため、それを過ぎると徐々に虚に傾いていきます。
「女性35歳、陰陽の経絡が衰えていき、シワができはじめ、髪が抜けやすくなってきます」
30代になると、気虚の傾向がでやすくなってきます。
20代では生理の出血が5,6日続いていた方でも、3,4日で生理が終わるようになってきます。
20代では生理痛がしんどかった方でも、身体全体の元気が弱ってきているため、生理痛の元気もなくなり、生理痛が弱くなってきます。
生理痛があると、下腹部の痛みだけでなく、腰がおもだるくなってきます。
これらの症状は身体に気虚の症状がでてきている証拠です。
20代のときと同じように、30代の方でも身体が充実し、便秘がちでイライラしやすい方は防風通聖散が適しています。
30代になって、急に太りやすくなってきていませんか?
一般的には代謝が落ちているといいますが、漢方では気虚の体質といいます。
身体の活力が弱ってきているため、気虚となり、いらないものを出す力が弱り、余分なものが溜まりやすくなってきます。
気が不足しているため、肥満でも締まりがない肥満が特徴的です。
気虚からの肥満の場合は防已黄耆湯を中心にし、水をめぐらせる漢方や気を補う漢方薬をつかいます。
女性は7の倍数で体質が変化していきます。
「42歳、陽気の経絡が上部から衰え始め、シワが増えはじめ、白髪が生えるようになります」
「49歳、衝任脈が虚し、太衝脈が衰え、閉経し、生殖能力がなくなります」
上記の言葉は難しい用語がありますが、いずれにしても虚の症状が強くなっているといえます。
とくに40代後半では、更年期に差し掛かります。更年期とは、新しく身体を整える準備をする時期になります。
40代、50代のダイエットの漢方薬は次に3つの体質にわかれます。
年齢を重ねても、気血が充実している方はいらっしゃいます。
便秘でいらいらしやすい方は防風通聖散が適しています。
42歳の体質、49歳の体質を見てわかるように、40代以降では虚の側面が強くなってくるため、40代以降で防風通聖散が合う体質の方は少なくなっていると思います。
40代、50代になって、急に太りやすくなってきていませんか?
一般的には代謝が落ちているといいますが、漢方では気虚の体質といいます。
身体の活力が弱ってきているため、気虚となり、いらないものを出す力が弱り、余分なものが溜まりやすくなってきます。
気が不足しているため、肥満でも締まりがない肥満が特徴的です。
気虚からの肥満の場合は防已黄耆湯を中心にし、水をめぐらせる漢方や気を補う漢方薬をつかいます。
虚の傾向から、さらに腎虚へと進んでいきます。
腎は生命力の源であり、加齢により消耗していきます。
腎虚になると、トイレが近くなり、髪が細く、腰が痛く、冷え性などがみられます。
このような方は腎を補うことで、身体の働きが活発になり、余分なものを出せるようになります。
補腎薬を中心に、さらに胃腸の働きを助ける漢方薬なども併用することがあります。
60代以降になると、腎虚の傾向が強くなっていきます。
60代以降で肥満を気にされる方は、補腎薬を中心に、胃腸の働きを助ける漢方薬を使い、身体を元気にすることで、身体にいらないものを排出する力をつけることが重要です。