瘀血タイプの体質改善方法、漢方と食事のポイント

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西山光です

この記事では「瘀血」について解説しています。

「瘀血」を知るためには、まずは「血」について知る必要があります。

漢方での「血」は栄養・潤いの働きのある液体と考えられています。

「血」がしっかりあることで、筋肉は盛んになり、肌が潤い、目はよく見え、爪・髪は艶やかになります。

目次

瘀血(お血)とは?

瘀血(おけつ)とは血の流れが滞っている状態のことです。

気の停滞は気滞といいますが、血は瘀血(おけつ)と表現します。

血の停滞があるため、刺すような痛み、色も紫色になりやすくなり、全身へ様々な影響を与えます。

・部位は固定で刺すような痛み
・口唇や肌の紫暗色
・舌に瘀点、瘀斑
・できもの、しみ
・生理痛
・生理血の塊

瘀血は血の塊のため、痛みの部位に変化はありません。

気滞による痛みの場合は、気は動きやすい性質のため、痛みの部位が移動する性質があります。

瘀血という血の停滞から、血の色は暗めの赤い色から、紫がかった色合いになります。

漢方では舌は、体内をあらわす指標の1つであり、舌に瘀点・瘀斑といわれる暗紫色の点がみられることがあります。

血は実体があるため、瘀血があることによって、しこりのように触って感じることのできるできものができることがあります。

わかりやすい例としては、にきびです。

にきびの原因に瘀血、痰湿などありますが、瘀血のにきびは芯があり、くすんだ色のにきびで、指で触ることもできます。

瘀血によって、気の流れが邪魔されることで痛みが生じます。

女性の瘀血で多いのは、生理痛です。

瘀血があるため、生理血に小さな血の塊がみられるようになります。

血の鬱滞が痛みの原因のため、刺すような痛みになります。

生理痛がひどくて悩まれている方は、瘀血が原因かもしれません。

瘀血タイプにおすすめの食べもの一覧

血を養う食べ物の特徴は、辛味のある食べ物です。

辛い食べ物ではなく、自然の辛味のある食べ物です。

辛味にはめぐらせる働きがあります。

瘀血タイプにおすすめの食べ物は、黒酢、たまねぎ、なす、たまねぎ、らっきょう、にんにく、ネギ、みょうが、バジル、パセリ、菜の花、魚類(とくに青魚)、よもぎ、あずき、べにばな、絲瓜絡、田七人参、よもぎ、三稜などがあります。

薬味野菜

たまねぎ、らっきょう、にんにく、ネギ、みょうが、バジル、パセリは香りがあり、味も辛味があるのが特徴的です。

辛味にて血をめぐらせてくれます。

日常的に薬味野菜を少し足すだけでもとてもいいことです。

中国で酢は透明な酢ではなく、黒酢が一般的です。

青魚

青魚は一般的にも血液サラサラになるといわれており、血を巡らせてくれるイメージがあると思います。

小豆

漢方では小豆は水を出し、血の湿熱を出す働きがあります。

最近では初潮のときにお赤飯は気持ち悪いといわれることもありますが、漢方での目線でみると、生理で血のめぐりがうまくいっていないときに、小豆で血と水をめぐらせるのを助けているのかもしれません。

薬膳

薬膳では、べにばな、絲瓜絡、田七人参、よもぎ、三稜などが有名です。

べにばなはまさに赤い色をしており、血に働くイメージが湧きやすいと思います。

田七人参も健康食品として有名です。

ヨモギはハーブの方面でも「ハーブの女王」といわれるくらい有名です。

漢方においても、ヨモギは重要です。

瘀血タイプと相性の悪い食べ物

冷えは瘀血のもとです。冷たい食べ物、身体を冷やすことは好ましくありません。

辛すぎるものも、血を煮詰めてしまいます。

適度な辛さは血のめぐりを改善します。

瘀血体質の生活

血のめぐりが悪いため、身体を動かすことがおすすめです。

身体を動かすことで、心臓が働き、血もめぐります。

普段の生活でもデスクワークなどで身体を動かさないと、血も鬱滞してしまいます。

お仕事の合間のストレッチもおすすめです。

瘀血に使う漢方薬とは?

瘀血の症状から、桂枝茯苓丸、折衝飲、芎帰調血飲第一加減などの漢方薬があります。

生理痛、生理不順

瘀血があることで、気血が正常にめぐらず、生理痛・生理不順となります。

瘀血があるため生理血にも小さな血の塊がみられます。

気滞による生理痛であれば張ったような痛みになり、瘀血による生理痛であれば刺すような強い痛みになります。

血のめぐりを改善する漢方薬に桂枝茯苓丸、折衝飲があります。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は婦人でも頻用処方の1つです。

桂枝茯苓丸は、桃仁・牡丹皮・芍薬・桂皮・茯苓から構成されています。

桂枝茯苓丸の桃仁・牡丹皮・芍薬が鬱滞している血を動かすことで、生理痛、生理不順や血のめぐりの悪さからくる肩こりにも効果を発揮します。

血を動かす働きはありますが、強すぎることはないため、広くつかいやすい漢方薬です。

折衝飲(せっしょういん)も血をめぐらせる漢方薬です。

折衝飲は医療用になく、市販や薬局製剤の煎じ薬でしか扱いがないため、なかなか目にしない漢方薬です。

折衝飲は、桃仁・牡丹皮・芍薬・川芎・桂皮・当帰・延胡索・牛膝・紅花から構成されています。

桃仁・牡丹皮・芍薬・桂皮は桂枝茯苓丸にもつかわれている生薬で、折衝飲はさらに生薬数が多いです。

折衝飲に入っている、桃仁・牡丹皮・芍薬・川芎・延胡索・牛膝・紅花が活血の生薬です。

桂枝茯苓丸には3つしか入っていない瘀血に対する生薬が、折衝飲では7つも入っています。

折衝飲は桂枝茯苓丸よりも血を動かす生薬がたくさん入り、血を動かす働きが強い漢方薬です。

生薬の数が多ければ多いほど良いのではなく、ご自身の瘀血の度合いにあった漢方薬を服用する必要があります。瘀血が強くないのに、折衝飲を服用してしまうと余計に体力を消耗してしまいます。

瘀血と血虚

身体全体で見ると血虚に寄っているが、ある一部分では瘀血(血のめぐりが悪い)になっていることがあります。

血虚は血の不足で、瘀血は血の鬱滞で、血虚と瘀血は反対の印象ですが、漢方では両者が併存することもよくみられます。

肌の乾燥、生理血の薄さもあって、生理痛は刺すように痛い場合は血虚と瘀血がどちらもあると考えられます。

桂枝茯苓丸は瘀血に対応していますが、血虚には対応していません。

当帰芍薬散は血虚に対応していますが、瘀血には弱いといえます。

血虚・瘀血そして気滞にも対応している漢方薬が芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)です。

芎帰調血飲第一加減には当帰・芍薬・川芎・地黄の補血薬の四物湯の組み合わせが入り、血虚に対応しています。

牡丹皮・桃仁・紅花・延胡索の活血といわれる、血をめぐらせる生薬も多く入っています。

さらに烏薬・枳実の気をめぐらせる生薬も入っています。

肌の乾燥、生理血の薄さもあって、生理痛は刺すように痛い場合の生理不順には芎帰調血飲第一加減が適しています。

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