夜間尿を改善するための漢方薬の選び方とその使い方

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西山光です
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夜間尿

夜に尿を出すために1回以上起きる状態を夜間頻尿といいます。

年齢を重ねるごとに頻度は増えていきます。

夜間の尿は睡眠の邪魔され、眠りが悪くなったり、トイレに行く途中でふらついて転倒のリスクもあります。

ここでは夜間尿につかう漢方薬について説明します。

夜間尿と腎

夜間尿を考えるうえで重要になるのが腎の働きです。

西洋医学では「腎臓」といい、漢方では「腎」といいます(臓という言葉があるかないかの違いです)。

西洋医学での腎臓は体液をろ過し、尿を排出します。

尿をためておくところが膀胱です。

西洋薬の頻尿薬は膀胱に働きかけることで、尿を蓄えやすくし、頻尿・夜間尿を抑えます。

漢方では腎が水の流れをつかさどっています。

腎が水の流れをコントロールし、腎の働きが悪くなることで、頻尿・夜間尿になります。

腎は加齢によって衰えやすい臓腑であり、加齢とともに頻尿になるのは漢方で見てもつながっています。

頻尿・夜間尿になるのは、腎の働きが悪いためです。

漢方では補腎薬という、腎に働く漢方薬をつかう必要があります。

夜間尿の漢方薬は?

夜間尿の漢方薬に八味地黄丸があります。

八味地黄丸

八味地黄丸(はちみじおうがん)は夜間尿、頻尿につかう代表的な漢方薬です。

八味地黄丸に含まれる地黄・山茱萸・山薬・茯苓・沢瀉・牡丹皮という生薬は六味丸の組み合わせで知られ、補腎薬として使われます。

地黄・山茱萸・山薬・茯苓・沢瀉・牡丹皮が腎を補うことで、腎の働きを整え、水のバランス、尿の回数を整えます。

八味地黄丸には桂皮・附子という生薬も入っています。

桂皮・附子は腎陽を補う生薬であり、簡単にいえば腎を温め、腎の働きを活発にする生薬です。

桂皮・附子が腎陽を補い、水のめぐりを助けます。

八味地黄丸は腎を補い、温めることで残尿感、夜間尿、軽い尿漏れにも効果を発揮します。

日常生活でできること

夜間尿の対策として日常生活でできることは、水分の量です。

ご自身で気づかないうちに水分をとっていることがあります。

お味噌汁などの汁物、フルーツ、飲酒の多量の摂取には気をつけてください。

お酒にも注意が必要です。

お酒には利尿作用があります。

お酒にはアルコールが含まれ、身体がアルコールを追い出そうとし、尿量が増えます。

尿量が増えると身体は水分が不足し、脱水になり、のどが渇くようになります。

お酒によって利尿し、さらに余計に水分を欲するようになるため、飲酒は注意が必要です。

さらにお酒は睡眠にもよくありません。

お酒を飲むと眠たくなる経験はあると思います。

お酒は入眠の効果があり、寝つきが良くなります。

しかしお酒は熟睡を邪魔し、睡眠を浅くする働きがあります。

お酒によって眠くなっても、実際は熟睡できていない方が多いです。

夜間尿、睡眠の質を考えたら、お酒はおすすめできません。

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