この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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夜に尿を出すために1回以上起きる状態を夜間頻尿といいます。
年齢を重ねるごとに頻度は増えていきます。
夜間の尿は睡眠の邪魔され、眠りが悪くなったり、トイレに行く途中でふらついて転倒のリスクもあります。
ここでは夜間尿につかう漢方薬について説明します。
夜間尿を考えるうえで重要になるのが腎の働きです。
西洋医学では「腎臓」といい、漢方では「腎」といいます(臓という言葉があるかないかの違いです)。
西洋医学での腎臓は体液をろ過し、尿を排出します。
尿をためておくところが膀胱です。
西洋薬の頻尿薬は膀胱に働きかけることで、尿を蓄えやすくし、頻尿・夜間尿を抑えます。
漢方では腎が水の流れをつかさどっています。
腎が水の流れをコントロールし、腎の働きが悪くなることで、頻尿・夜間尿になります。
腎は加齢によって衰えやすい臓腑であり、加齢とともに頻尿になるのは漢方で見てもつながっています。
頻尿・夜間尿になるのは、腎の働きが悪いためです。
漢方では補腎薬という、腎に働く漢方薬をつかう必要があります。
夜間尿の漢方薬に八味地黄丸があります。
八味地黄丸(はちみじおうがん)は夜間尿、頻尿につかう代表的な漢方薬です。
八味地黄丸に含まれる地黄・山茱萸・山薬・茯苓・沢瀉・牡丹皮という生薬は六味丸の組み合わせで知られ、補腎薬として使われます。
地黄・山茱萸・山薬・茯苓・沢瀉・牡丹皮が腎を補うことで、腎の働きを整え、水のバランス、尿の回数を整えます。
八味地黄丸には桂皮・附子という生薬も入っています。
桂皮・附子は腎陽を補う生薬であり、簡単にいえば腎を温め、腎の働きを活発にする生薬です。
桂皮・附子が腎陽を補い、水のめぐりを助けます。
八味地黄丸は腎を補い、温めることで残尿感、夜間尿、軽い尿漏れにも効果を発揮します。
夜間尿の対策として日常生活でできることは、水分の量です。
ご自身で気づかないうちに水分をとっていることがあります。
お味噌汁などの汁物、フルーツ、飲酒の多量の摂取には気をつけてください。
お酒にも注意が必要です。
お酒には利尿作用があります。
お酒にはアルコールが含まれ、身体がアルコールを追い出そうとし、尿量が増えます。
尿量が増えると身体は水分が不足し、脱水になり、のどが渇くようになります。
お酒によって利尿し、さらに余計に水分を欲するようになるため、飲酒は注意が必要です。
さらにお酒は睡眠にもよくありません。
お酒を飲むと眠たくなる経験はあると思います。
お酒は入眠の効果があり、寝つきが良くなります。
しかしお酒は熟睡を邪魔し、睡眠を浅くする働きがあります。
お酒によって眠くなっても、実際は熟睡できていない方が多いです。
夜間尿、睡眠の質を考えたら、お酒はおすすめできません。