漢方での水の働き~津液(しんえき)の働き、陰虚、水飲、痰湿の違いとは?~
津液とは?
津液(しんえき)とは、漢方において生体における水液のことをあらわします。
さらっとした水としての津液から、粘性をもった水も津液と表現します。
臓器・組織に含まれる液体だけでなく、細胞間液・リンパ・分泌物なども含まれます。
津液は細かく分けると、津(しん)と液にわけられることもありますが、津液ということが多いです。
津の方が薄い希薄な液体で、液の方が形のある液体となります。
津液の働きとは?
津液は身体を滋潤し、濡養する働きがあります。
血よりも津液の方がサラッとし、眼・鼻・口・舌などを潤し、保護しています。
津液が足りなくなると乾燥に傾き、津液が停滞するとむくみなどに影響してきます。
陰虚とは?
津液を不足した状態を陰虚と漢方では表現します。
津液とは体を満たす水・細胞間液・分泌液のことのため、陰虚というのはそれらが不足している状態です。
陰虚になると、乾きに関する症状が多くあらわれます。
・口唇の乾燥
・皮膚の乾燥
・尿が濃く少ない
・便が固い
・便秘
・舌の乾燥
・細脈
・ほてり
・のぼせ
陰虚からの渇きのため、口唇・皮膚・舌の乾燥となります。
腸も潤いがなくなるため便秘となります。
陰虚と水不足から、体を冷やす液体がないため、のぼせ・ほてりの症状がでます。
水飲の停滞
簡単にいえば、身体に過剰に水が溜まっている状態です。
水の貯留によって、様々な症状があらわれます。
・うすい痰
・鼻水
・水様性の嘔吐
・胃内停水
・下痢
・浮腫
・胸水
・腹水
過剰な水によってむくみ、鼻水がでやすくなり、腸では下痢、胸では胸水、お腹では腹水となります。
痰飲の停滞
痰飲というのは粘性をもった水のことを指します。
水が長い期間停滞し、熱をもってくると、粘性をもった痰といわれる状態になります。
日常生活で痰というと、のどに絡まるものをイメージしますが、漢方では痰が全身にたまります。
のどに痰が停滞すれば痰になり、脳に痰が停滞すればめまい・ふらつきになり、関節に痰が停滞すれば関節痛になります。
・喀痰
・めまい
・ふらつき
・悪心、嘔吐
・しこり
・しびれ
・関節痛
痰湿はヌメリであるため、気の流れを強く邪魔します。
当然、水飲と痰飲とではつかう生薬も異なってきます。
水の停滞といっても、さらっとした水なのか、粘性をもった水なのか、症状、舌、脈から判断していきます。