灯心堂漢方薬局

【漢方】生理時の発熱の5つの体質~生理までなく、生理中にも体温が高い時~

生理時の発熱

 

生理前や、生理の時に毎回発熱し、生理が終わると一緒に発熱も引くことはありませんか?

 

ここでは生理時の体温の変化から、生理中に体温が37度を超えるときの原因について考えたいと思います。

 

女性の体温の変化として、低温期と高温期にわけられます。

 

低温期→生理がはじまり、2週間ほどの期間

高温期→排卵後、体温が37度近くまで上がる期間

 

 

低温期では生理がはじまり、その期間はエストロゲン(卵胞ホルモン)が活発になり、排卵に向けて準備をします。

 

低温期の体温は36度前半~36.7度くらいといわれます。

 

 

その後、排卵し、妊娠しやすいように高温期に移行します。

 

高温期では黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌されます。

 

低温期に比べ、0.3~0.6度くらい上がり、37度近くまで上昇するため微熱を感じるようになります。

 

生理時の体温の変化

 

 

高温期が終わり、生理が始まると今度は低温期になり、低温期→排卵→高温期→生理→低温期の繰り返しになります。

 

基礎体温の詳しい説明はこちらのサイトを参考にしてください→

 

生理中は低温期であるため、熱は通常に戻るはずですが、それでも熱感がある方がいます。

 

実際に体温計で測り、37度を超えていることもあれば、37度超えていなくても、自覚症状で熱感がある方がいらっしゃいます。

生理「前」の熱感→高温期のため

生理「中」の熱感→低温期の期間なのに?

漢方の目線で生理時の発熱について考えたいと思います。

 

 

生理中の発熱、体温が高い理由は?

生理中に体温が高い原因としては、漢方で考えると、肝鬱化火、瘀血、気血両虚、陰虚火旺、外感の5つの体質が考えられます。

・肝鬱化火(イライラ、ストレス)
・瘀血(生理痛がひどい)
・陰虚火旺(普段から微熱、ほてり)

・気血両虚(疲れ、目のかすみ)
・感冒(カゼ)

これら5つの状態について説明したいと思います。

 

 

肝鬱化火(かんうつかか)

肝鬱化火とは、気のめぐりの悪い状態が強く、そこから熱を持ってきている状態のことです。

 

イライラやストレス、悩みごとがあると、気の巡りが悪くなります。

 

気の鬱滞が続くと、そこから熱をもち、鬱熱となり、発熱へとつながります。

 

肝鬱化火のある方は、PMSで胸が張ったり、イライラしやすい方が多いです。

・胸脇が張る
・いらいら
・抑うつ
・肩が凝りやすい
・冷え性
・便秘がち

これらにあてはまるときは肝鬱化火の恐れがあります。

 

原因となっている肝気をめぐらせる漢方薬をつかう必要があります。

 

気のめぐりが悪く、それによって生理不順になっている場合には加味逍遙散がおすすめです。

 

加味逍遙散

加味逍遙散は柴胡・薄荷の気の巡りを改善する生薬、当帰・芍薬の血を養う生薬、山梔子・牡丹皮の熱を冷ます生薬から構成されています。

 

加味逍遙散だけで気を巡らせ、熱を冷まし、生理に重要な血を養う働きもあります。

 

イライラなどの気の巡りの悪さが原因で生理中に微熱がでて、生理不順があるときは加味逍遙散がおすすめです。

 

瘀血瘀血の血の色

瘀血(おけつ)というのは血の滞りを意味します。

 

瘀血がある方は生理血に血の塊がみられたり、生理痛がひどい方が多いです。

 

血の滞りがあると、それが停滞することで鬱熱となり、血瘀と熱がむすびつき、発熱となります。

・生理量が少ない
・粘稠な生理血
・下腹部の強い痛み
・生理血に血の塊がある

これらにあてはまるときは血瘀の体質の可能性があります。

 

原因となっている血の停滞を動かすための漢方薬をつかう必要があります。

 

血の巡りを悪さが原因の生理痛や生理不順に効能効果のある漢方薬に桂枝茯苓丸、牛膝散、折衝飲があります。

 

 

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は血をめぐらせる代表的な漢方薬で、よく使用される漢方薬です。血のめぐりを改善したいのであれば、桂枝茯苓丸です。

 

・牛膝散(ごしつさん)

牛膝散は桂枝茯苓丸よりも、血をめぐらせる生薬が増えた漢方薬です。桂枝茯苓丸よりも、血の巡りの悪さが強いときには牛膝散おすすめです。

 

・折衝飲(せっしょういん)

折衝飲は、桂枝茯苓丸よりも、牛膝散よりも血をめぐらせる生薬が多く入っています。血をめぐらせる働きが強く、瘀血が強い場合に折衝飲をおすすめいたします。

 

血をめぐらせる生薬の数を比較すると、桂枝茯苓丸<牛膝散<折衝飲になります。

 

ただし、生薬の数が多ければ良いではなく、ご自身の瘀血に合った漢方薬を使う必要があります。

 

瘀血が軽いのに折衝飲をつかっては余計に体力を消耗しますし、瘀血が強いのに桂枝茯苓丸をつかってもあまり変化がみられない可能性があります。

 

漢方薬はご自身に合ったものをお選びください。

生理痛。瘀血につかう漢方薬。血をめぐらせる、 一番有名な漢方薬。 血をめぐらせる生薬3種類。牛膝散:桂枝茯苓丸よりも 血をめぐらせる生薬の数が多い。6種類。折衝飲:血をめぐらせる生薬の数が多い。 漢方の中でも多く、8種類。生薬の種類が多ければ良いのではなく、 ご自身に合ったものをつかうこと

陰虚火旺(いんきょかおう)

陰というのは体を潤す血・水のことを指します。

 

つまり陰虚は身体を冷やす潤いが不足した状態です。

 

陰虚になると、身体を冷やすことができず、発熱しやすくなり、それを陰虚火旺といいます。

 

陰虚という日常的に身体の潤いが不足した状態のため、普段から微熱がみられるのが特徴的です。

・普段から微熱

・生理血が暗紅で少量
・口が渇きやすい
・舌が赤い
・舌の苔が少ない

これらにあてはまるときは陰虚火旺の体質の可能性があります。

 

舌をみると赤いので、見てわかりやすいと思います。

 

陰虚火旺の場合は、不足している陰を養う漢方薬をつかう必要があります。

 

顔や手足の火照りにつかう漢方薬に知柏地黄丸があります。

 

知柏地黄丸

知柏地黄丸は知母・黄柏という熱を冷ます生薬が入り、また地黄という生薬が陰を補う働きがあり、熱を冷ます働きと潤す働きのどちらもすることができます。

 

舌が赤く、火照りがあるときは知柏地黄丸にて潤し、冷やすことがおすすめです。

 

知柏地黄丸の煎じ薬→  粉薬→

 

気血両虚(きけつりょうきょ)

気血両虚というのは、気・血のどちらも不足している状態のことです。

 

気血両虚の方は胃腸が弱かったり、貧血きみの方が多いです。

 

胃腸が弱いと気が不足します。また胃腸が弱いと、食べ物から栄養を吸収し、血をつくることができず、血虚になります。

 

また女性は生理によって血を消耗しやすいため、血虚になりやすいです。

 

気血両虚という弱っている身体の状態のときに、生理があることで、さらにエネルギーを使い、発熱を起こしやすくなります。

・貧血
・生理血が薄い
・睡眠が浅い
・顔のむくみ
・頭がぼーとする
・目のかすみ
・けん怠感、元気がない

これらにあてはまるときは気血両虚の体質の可能性があります。

 

気血をしっかり養ってあげる漢方薬をつかう必要があります。

 

貧血やけん怠感のときには十全大補湯がおすすめです。

 

十全大補湯

十全大補湯は気と血を養う代表的な漢方薬です。

 

人参・白朮・茯苓などが気を補い、当帰・芍薬・地黄などが血を養ってくれます。

 

貧血、けん怠感が気になるときは十全大補湯がおすすめです。

 

 

感冒

当然といえばそうですが、生理中にカゼをひくことで発熱となります。

 

生理中は出血し、体力をつかうため、カゼをひきやすい環境といえます。

 

生理中は冷たいものや、寒いところにいくことを避け、体調管理の必要性があります。

 

生理中のカゼには小柴胡湯などが使用されます。

 

 

 

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