慢性腎臓病、腎機能低下を改善するための漢方薬の選び方とその使い方

 この記事を書いた人

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西山光です

腎機能が少しずつ悪化することでお悩みではないですか?

漢方の目線での腎機能の考え方について解説しています。

最後には実際の相談事例も紹介しています。

結論

・慢性腎臓病とは腎機能が低下した状態が3か月以上続くこと

・慢性腎臓病を漢方で考えると、腎虚、瘀血、気虚、痰濁が関係している

・漢方で対応するときは、腎虚・気虚に対しては補っていき、瘀血・痰濁は排出していく漢方薬をつかう

 この記事を読んでわかること
・腎機能低下とは
・漢方の考え方

漢方をうまく取り入れて、いつも通りに生活を送れるようになればと思います。

目次

慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病とは

慢性腎臓病(CKD)とは、腎機能が低下した状態が3か月以上続くことです。

①、②のいずれか、または両方が3か月を超えて持続することで診断する

①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)

②GFR<60mL/分/1.73m2

成人の8人に1人が慢性腎臓病に当てはまるといわれています。

ゆっくりと慢性腎臓病は進行していき、腎機能が落ちていきます。最終的には腎不全になり、透析を受ける必要がでてきます。

慢性腎臓病についてはyoutubeのみんなの健康塾チャンネルの動画が大変わかりやすいため、紹介させていただきます。こちらの動画を参考にして、病院を受診してください。

慢性腎臓病の症状

慢性腎臓病は初期症状はありません。ある程度進行しないと症状がみられません。

・夜間尿
・貧血
・疲労感
・むくみ
・息切れ

慢性腎臓病の原因

慢性腎臓病の原因としては、糖尿病、高血圧(腎硬化症)、慢性糸球体腎炎(IgA腎症、膜性腎症など)、加齢などがあります。

慢性腎臓病の原因
・糖尿病
・高血圧、腎硬化症
・慢性糸球体腎炎

慢性腎臓病のリスク要因

血圧

腎機能を低下させる要因はいくつかあり、日常生活から気を付けて過ごす必要があります。

腎機能を低下させる要因
・高血圧
・高血糖
・脂質異常
・肥満
・喫煙
・飲酒
・運動不足
・ストレス

慢性腎臓病の治し方

透析

慢性腎臓病は完全な治癒は難しいのですが、早期治療することで病気の進行を抑えることができます。当然、病院の受診は必須です。

慢性腎臓病の治療法としては、糖尿病、高血圧、脂質異常などの疾患があれば、それらの治療をしていきます。とくに血圧のコントロールは重要です。

貧血があれば貧血のお薬、毒素の除去のお薬をつかいます。

腎不全になった場合は透析が必要になってきます。

慢性腎臓病の漢方での考え方

慢性腎臓病を漢方で考えると、「腎虚」が原因です。

さらに糖尿病、高血圧で血管が固くなっていくことを考えると、「瘀血」が関係しています。

過度な脂質、過度な糖、尿素窒素、尿酸などは漢方では「痰濁」が溜まっている状態ともいえます。

「気虚」があることで身体の機能が低下し、水の巡りが悪くなります。

腎虚

漢方では「腎」は「水をつかさどる」臓器です。

「腎虚」になることで、身体にたまった汚れを尿として排出する力が弱くなります。

・腎は加齢によって、徐々に機能が弱っていく

瘀血体質

瘀血

「血」の巡りが悪い状態を瘀血といいます。

慢性腎臓病では高血圧が続くことで、腎臓の血管が固くなる(動脈硬化)ことで、腎機能が低下していきます。

・瘀血は高血圧、糖尿病などで血管が固くなっている状態

気虚体質

漢方では「気」があることで、身体を正常に機能することができます。

「気虚」になることで、身体の機能を正常に動かすことができなくなります。

・気虚になることで、倦怠感などにつながり、身体の機能低下を意味します

痰濁

身体に溜まる汚れのことを「濁」「痰濁」といいます。

高血糖の状態や、脂質・尿酸値が多い状態は「痰濁」が溜まっているといえます。

腎機能が低下すると、尿素窒素(BUN)などが高くなってきますが、これらも「痰濁」ということができます。

・身体に不必要なものが溜まっている状態を「痰濁」が溜まっているといいます

慢性腎不全を漢方で考えると、腎虚、瘀血、気虚、痰濁が合わさっている状態といえます。

慢性腎臓病の漢方での対応

実際に慢性腎臓病を漢方で対応するなら、弱っている部分は補い、溜まっているものは排出していきます。

慢性腎臓病の場合、弱っているところは腎虚・気虚のため、補う漢方薬をつかいます。

溜まっているものは瘀血・痰濁のため、これらを排出する漢方薬をつかいます。

慢性腎臓病におすすめの食べ物

萆薢(ひかい)

おすすめの食べ物は萆薢(ひかい)です。萆薢には痰濁を排出する働きがあります。

実際の相談事例(膜性腎症によるネフローゼ)

64歳女性。膜性腎症によるネフローゼで尿たんぱくの量が多い。腎臓に炎症が起きている状態といわれた。半年後の検査でも尿たんぱくが改善していなければ、入院することになる。暑がり。胃もたれ。高血圧。

慢性腎臓病からのネフローゼによる蛋白尿でお悩みの方です。

腎臓に炎症を起こしているとの診断だったのため、腎の炎症を抑える漢方薬をつかいました。

腎の炎症を抑えることで体質改善できるのではと考えました。

半年後の検査では尿たんぱくの数値は改善され、入院することはなくなり、喜んでいただけました。

腎機能の低下でお悩みの方はぜひご相談くださいませ。

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