灯心堂漢方薬局

【当帰芍薬散加黄耆釣藤】わかりやすい解説(とうきしゃくやくさんかおうぎちょうとう)

当帰芍薬散加黄耆釣藤

 

当帰芍薬散加黄耆釣藤の働きを添付文書の効能効果から掘り下げて、考えたいと思います。

 

当帰芍薬散加黄耆釣藤は薬局製剤という漢方薬局の煎じ薬でしか販売されていません。

 

医療用に存在せず、エキス顆粒の商品もないため、なかなか目にする機会はない漢方薬です。

 

当帰芍薬散加黄耆釣藤の効能効果には

 

「体力虚弱で血圧が高く、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすく、ときに、下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)」

 

と記載されています。

 

添付文書の効能効果に記載されている理由を考えたいと思います。

 

当帰芍薬散加黄耆釣藤の生薬は?

当帰芍薬散加黄耆釣藤には、当帰・芍薬・川芎・沢瀉・茯苓・白朮・黄耆・釣藤鈎が入っています。

 

構成としては、当帰芍薬散に黄耆・釣藤鈎が追加された漢方薬です。

当帰芍薬散加黄耆釣藤=当帰芍薬散+黄耆・釣藤鈎
当帰芍薬散の冷え性で貧血気味の方の高血圧の症状につかう漢方薬です。
 

血を補う

当帰芍薬散加黄耆釣藤には血を補う生薬が多く入っています。

 

当帰・芍薬・川芎が血を養います。

 

漢方では血は血としての役割だけでなく、栄養状態も意味します。

 

血虚とは、血の不足と、栄養が不足している状態です。

 

血の不足は生理不順、肌の乾燥、髪のパサつき、爪の血色などにも影響します。

 

血虚から疲れやすく、頭痛、めまいの症状があわれます。

 

当帰・芍薬・川芎が血を補ってくれます。

 

また当帰・芍薬・川芎は血を補うだけでなく、血をめぐらせる働きもあります。

 

瘀血(血の鬱滞)による下腹部痛、肩こりも当帰・芍薬・川芎が血をめぐらせ、緩和します。

 

水を追い出す

当帰芍薬散には水のめぐりを改善する生薬が多く入っています。

 

白朮・茯苓・沢瀉が水のめぐりを改善します。

 

たまっている水があることで、むくみの原因になります。

 

停滞した水は身体を冷やし、冷え性、頭重、めまい、耳鳴、動悸の原因にもなります。

 

水が頭で過剰になると頭重感になり、耳へ影響を与えるとめまい・耳鳴り、心へ影響を与えると動悸となります。

 

当帰芍薬散の白朮・茯苓・沢瀉が原因となる水を追い出すことで、症状を緩和します。

 

血圧への働き

血圧に対しては黄耆(おうぎ)・釣藤鈎(ちょうとうこう)の働きが重要になります。

 

黄耆・釣藤鈎の組み合わせは当帰芍薬散加黄耆釣藤だけでなく、七物降下湯にもみられる組み合わせです。

 

七物降下湯もまた高血圧に対応した漢方薬で、日本の大塚敬節先生がご自身の高血圧につかうために考えられた漢方薬です。

 

大塚敬節先生の『漢方医学』という本の中で、七物降下湯に黄耆・釣藤鈎を入れた理由が説明されています。

 

釣藤には脳血管の痙攣を予防する効があるらしいし、黄耆には、毛細血管を拡張して血行をよくする効があるらしいので、これを用いることによって血圧が下がるのではないかというのが私の考えであった。

 

黄耆・釣藤鈎を組み合わせることで、高血圧によるのぼせ、肩こりなどを緩和します。

 

生薬のまとめ

当帰芍薬散加黄耆釣藤は当帰芍薬散に黄耆・釣藤鈎が合わさった漢方薬です。当帰芍薬散体質の冷え症で貧血きみの方の高血圧に適した漢方薬です。

 

当帰・芍薬・川芎が不足しがちな血を補い、鬱滞している血をめぐらせます。白朮・茯苓・沢瀉が過剰な水を追い出します。黄耆・釣藤鈎が高血圧の随伴症状を緩和します。

 

効能効果なぜ?

当帰芍薬散加黄耆釣藤の効能効果には

 

「体力虚弱で血圧が高く、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすく、ときに、下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)」

 

と記載されています。

 

なぜこのような効能効果なのか考えたいと思います。

 

体力虚弱

→当帰芍薬散加黄耆釣藤には血を補う生薬が多く入っており、体力虚弱な方に向いた漢方薬です。桂枝茯苓丸のように血を動かす働きが強い漢方薬は攻める漢方薬であり、その場合は比較的体力があり、と記載されています。血を補うか、血を動かすのかで、体力の記載のされ方が変わってきます。

 

血圧が高く

→当帰芍薬散加黄耆釣藤の黄耆・釣藤鈎が血圧に対応した生薬であり、血圧が高い方向けの漢方薬です。

 

冷え性

→浮腫みやすいような水が過剰な体質の方は、水によって体が冷やされ、冷え性になりやすくなります。当帰芍薬散加黄耆釣藤の白朮・茯苓・沢瀉が過剰な水を追い出してくれます。

 

貧血

→当帰芍薬散加黄耆釣藤の当帰・芍薬・川芎が血を補い、貧血を緩和します。

 

疲労しやすく

→血虚という身体の栄養が不足している状態のため、疲れやすくなります。当帰芍薬散加黄耆釣藤が血を養ってくれます。

 

下腹部痛

→血の鬱滞があると生理痛、下腹部痛が生じやすくなります。当帰芍薬散加黄耆釣藤の当帰・芍薬・川芎は強くはないですが、血を動かす働きがあります。瘀血(鬱滞している血)を動かすことで、生理痛などの下腹部痛も緩和します。

 

頭重、めまい

→血虚は身体に多くの症状を呈します。血が頭まで行き渡らないときは頭重感、めまいとなります。水の鬱滞は浮腫みだけでなく、全身症状にも影響を与えます。水の鬱滞は気血の流れを邪魔し、気が頭まで行き届かなくなり、頭重感、めまいとなります。当帰芍薬散加黄耆釣藤は血虚からのめまいにも、水滞によるめまいにも対応した漢方薬です。

 

肩こり

→瘀血(血の鬱滞)があることで、気血の流れを邪魔し、肩こりになります。女性に肩こりが多いのは、生理で血の循環が必要となり、血の鬱滞も生じやすいためだと考えられます。当帰芍薬散加黄耆釣藤は血を動かす働きがあり、血の循環を改善し、肩こりを緩和します。

 

耳鳴り

→耳鳴の原因はいくつかありますが、ここでは水の鬱滞からくる耳鳴りです。水の停滞が耳に影響を与え、耳鳴りとなります。当帰芍薬散加黄耆釣藤が過剰な水を追い出し、耳鳴りを緩和します。

 

動悸

→動悸の原因はいくつか考えられますが、ここでの動悸は水飲が原因です。過剰な水が心へ突きあがることで動悸となります。当帰芍薬散加黄耆釣藤が水のめぐりを改善することで、動悸を緩和します。

 

高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)

→気の高ぶりがあることで、血圧が上昇しやすく、それに伴いのぼぜ・肩こり・耳鳴り・頭重が生じやすくなります。黄耆・釣藤鈎が気の高ぶりを鎮めることで、高血圧に対応した漢方薬になっています。

 

まとめ

当帰芍薬散加黄耆釣藤の働きについて、添付文書から解説しました。

 

当帰芍薬散加黄耆釣藤は血を強く補い、過剰な水を追い出し、気の高ぶりを鎮めることで「体力虚弱で血圧が高く、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすく、ときに、下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)」の効能効果があります。

 

 

 

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商品紹介

当帰芍薬散料加黄耆釣藤  当帰芍薬散料加黄耆釣藤は、「金匱要略」を原典とする、当帰芍薬散に、黄耆と釣藤鈎を加えたもので、体力虚弱で血圧が高く、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすく、ときに、下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴える人の、高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重)に用いられ…

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