灯心堂漢方薬局

【麻黄湯】効能効果から考えるわかりやすい麻黄湯の解説(まおうとう)

麻黄湯

 

麻黄湯の働きを添付文書の効能効果から掘り下げて、考えたいと思います。

 

麻黄湯は一般的にはカゼやインフルエンザの方につかうことが多い漢方薬です。

 

ドラッグストアでも見かけることの多い漢方薬です。

 

薬局製剤 麻黄湯の効能効果には

 

「体力充実して、かぜのひきはじめで、さむけがして発熱、頭痛があり、せきが出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまり」

 

と記載されています。

 

添付文書の効能効果に記載されている理由を考えたいと思います。

 

麻黄湯の生薬は?

麻黄湯は、麻黄・杏仁・桂皮・甘草の4つの生薬が入っています。麻黄湯は温める働きが強い漢方薬です。

 

麻黄・桂皮

麻黄湯は麻黄(まおう)が主薬です。

 

麻黄には温め、発汗作用があり、カゼのときに入ってきた外邪を発汗にて追い出します。

 

添付文書にも、汗がでていないと書いてあり、麻黄湯を汗がでていない人に使うことで、汗をかかるせる働きがあります。

 

桂皮にも温め、発汗する働きがあり、麻黄の外邪を追い出す働きを助けます。

 

麻黄は温める生薬で、桂皮も温める生薬で、2つ合わせることで麻黄湯は強く温める働きがあります。

 

麻黄湯のカゼの特徴に強い寒気があります。

 

強い寒気に身体が当たることで、カゼをひき、さむけを感じ、発熱、頭痛、せきとなります。

 

強い寒気は身体の関節の気血の流れを邪魔し、関節痛になります。

 

強い寒気は肌の表面では汗の穴を閉じる方向に働き、汗がでなくなります。

 

あらゆる症状の原因が強い寒気のため、麻黄湯の麻黄・桂皮が身体を温め、発汗し、追い出します。

 

杏仁

杏仁(きょうにん)は肺の気のめぐりを改善し、咳を抑える働きがあります。

 

カゼを引いて、咳がでるときは杏仁が咳を抑えます。

 

医療用の薬にキョウニン水というものがあり、こちらの効能効果も咳嗽とあります。

 

甘草

甘草は甘味の強い生薬にて、気を補い、漢方薬の調和をはかる生薬です。

 

効能効果なぜ?

 

薬局製剤 麻黄湯の効能効果には

 

「体力充実して、かぜのひきはじめで、さむけがして発熱、頭痛があり、せきが出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまり」

 

と記載されています。

 

なぜこのような効能効果なのか考えたいと思います。

 

体力充実

→麻黄湯は温め、発汗作用が強い漢方薬です。身体が弱りすぎている方の場合、さらに発汗することで体力を消耗してしまう恐れがあります。そのため、麻黄湯はある程度体力がある方向けの漢方薬です。体力虚弱で胃腸が弱い方向けのカゼ薬には参蘇飲などがあります。

 

かぜのひきはじめ

→カゼのひきはじめの段階では、漢方の考えでは病邪がまだ体表にいると考えます(いきなり身体の内側に入ってくる場合もありますが)。体表の病邪と身体の免疫がバチバチ戦うことで、寒気、発熱が生じます。麻黄湯や葛根湯は体表の病邪を温め、発汗にて追い出します。

 

さむけがして発熱、頭痛

→麻黄湯の場合、カゼのなかでも強い寒気が身体を攻めてきている状態です。強い寒気から発熱、頭痛、せきとなります。麻黄湯が身体を強く温め、カゼが改善していくことで発熱、頭痛も緩和されます。

 

せき

→外邪によって、肺の気のめぐりが悪くなることで咳となります。麻黄湯の杏仁は肺の気のめぐりを改善することで咳を抑えます。

 

身体のふしぶしが痛く

→強い寒気による影響で、気血のめぐりが悪くなると関節痛になります。カゼひいたときに、関節が痛くなるのは強い寒気が原因です。気血の流れを邪魔し、痛みの原因となる寒邪を麻黄湯が追い出します。

 

汗が出ていないもの

→強い寒気によって、体表では汗の穴がふさがってしまいます。そのため汗をかくことができません。麻黄湯は発汗作用のある麻黄・桂皮が入っているため、ふさがっている汗の穴を通し、発汗して外邪を追い出します。

 

感冒

→寒気がある感冒の場合は麻黄湯が温め、感冒を治します。寒気がない感冒には別の漢方薬をつかう必要があります。

 

鼻かぜ、鼻づまり

→鼻かぜとは、鼻水、鼻づまりのあるカゼのことです。麻黄湯の麻黄・桂皮の組み合わせは発汗作用があり、利水作用が強くなります。利水とは、身体の水毒を追い出す働きのことです。鼻かぜの局所的な水の停滞を麻黄湯の麻黄・桂皮が追い出します。鼻づまりで呼吸がしづらいときにも麻黄湯は適しています。

 

気管支炎

→気管支炎の症状はせきです。寒気をともなう気管支炎には麻黄湯の杏仁が咳を抑えます。

 

麻黄湯と葛根湯の違いは?

麻黄湯と葛根湯の違いは、肩こりがあるかどうかです。麻黄湯と葛根湯は入っている生薬も似ており、麻黄湯(麻黄・桂皮・杏仁・甘草)から杏仁を抜き、葛根・生姜・大棗・芍薬を足したものが葛根湯(麻黄・桂皮・甘草・葛根・生姜・大棗・芍薬)です。葛根湯の主薬は葛根であり、葛根が首・肩の凝りを緩めます。カゼでも首・肩こりの経絡に病邪があるときは葛根湯、強い寒気・関節痛に病邪があるときは麻黄湯が適しています。

 

麻黄湯が効かない?

漢方薬は体質が合っていないと効果を発揮しません。麻黄湯は強く温めることで、寒気のあるカゼにつかいます。寒気が全くない、熱が原因のカゼの場合は反対に冷やす必要があり、銀翹散などをつかいます。カゼでも虚弱体質で胃腸が弱い方の場合は参蘇飲などもあります。カゼのひきはじめで、発汗があるときは桂枝湯をつかうときもあります。カゼといっても寒気の強さ、発汗、体力があるか、など様々な状態から漢方薬を選ぶ必要があります。

 

まとめ

麻黄湯の働きについて、添付文書から解説しました。

 

麻黄湯は強く温め、発汗を促すことで「体力充実して、かぜのひきはじめで、さむけがして発熱、頭痛があり、せきが出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまり」の効能効果があります。

 

 

 

 

 

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