灯心堂漢方薬局

【半夏厚朴湯】わかりやすい解説(はんげこうぼくとう)

半夏厚朴湯

 

 

半夏厚朴湯の働きを添付文書の効能効果から掘り下げて、考えたいと思います。

 

薬局製剤 半夏厚朴湯の効能効果には

 

「体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感」

 

と記載されています。

 

半夏厚朴湯の効能効果は不安神経症からしわがれ声など幅広いです。

 

添付文書の効能効果に記載されている理由を考えたいと思います。

 

半夏厚朴湯の状態は?

ストレスなどの精神的な症状から気の鬱滞が生じます。

 

気の鬱滞だけがあればいいのですが、半夏厚朴湯の場合は気滞と痰が結びついた状態です。

 

痰とは、水の鬱滞のことです。水が鬱滞し、粘性を持つと漢方では痰と表現します。

 

気滞と痰が合わさることで、相乗効果で気の流れを邪魔し、のどでは違和感になり、精神的に不安になります。

 

気滞と痰を一緒に取り除く漢方薬が半夏厚朴湯です。

 

半夏厚朴湯が気滞と痰をとることで、のどのつかえ感、不安を一緒にとっていきます。

 

 

構成

半夏厚朴湯は半夏・厚朴・蘇葉・茯苓・生姜から構成されています。

 

半夏

半夏(はんげ)は痰をとり、気を下向きに流す生薬です。

 

気の鬱滞と痰がによって、気の流れが邪魔されているため、半夏が痰をとることで、気の通りがよくなります。

 

のどをつかえている原因となる痰をとります。

 

半夏は気を下向きに流すため、吐き気などにも効果を発揮します。

 

厚朴

厚朴(こうぼく)は気滞を動かし、つかえているものを緩める働きがあります。

 

厚朴が原因となる気滞をとり、のど・胸のつかえているものを緩めます。

 

緩めてあげることで、気の流れが本来あるべきところに流れるようになります。

 

蘇葉

蘇葉(そよう)はシソのことです。

 

漢方でシソが使われています。

 

シソの茎も蘇梗(そこう)という名前でつかわれています。

 

蘇葉は香りが良く、気のめぐりを改善する生薬です。

 

気の鬱滞から不安感などが生じるため、蘇葉が気の鬱滞を解きます。

 

茯苓

茯苓(ぶくりょう)は気を補いつつ、身体にたまりがちな水を追い出します。

 

身体に水がたまることで、それが込みあがり吐き気にもつながります。

 

生姜

生姜(しょうきょう)は胃腸の働きを助け、吐き気を抑える働きがあります。

 

生姜・半夏の組み合わせが吐き気によくつかわれます。

 

構成のまとめ

半夏厚朴湯は半夏が閉塞感の原因となる痰をとりのぞき、厚朴が閉塞感の原因となる気滞を動かします。蘇葉も良い芳香にて気を動かすのを助けます。茯苓・生姜にて胃腸の働きを助け、吐き気、気分が悪くなる原因の水を追い出します。

 

のどから胸にかけての、気滞と痰が合わさった状態によってのどのつかえ感、気分がふさぎ、不安感になります。半夏厚朴湯は原因となる気滞と痰を取り除くことで、効果を発揮します。

 

 

効能効果なぜ?

 

薬局製剤 半夏厚朴湯の効能効果には

 

「体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感」

 

と記載されています。

 

なぜこのような効能効果なのか考えたいと思います。

 

体力中等度

→半夏厚朴湯には人参などの補う生薬は入っていないため体力虚弱の表記にはならず、瀉下薬が入っていないため体力充実している方向けの漢方薬でもありません。体力が虚弱でもなく、充実し過ぎていない、体力中等度の幅広く多くの方が服用できる漢方薬です。

 

気分がふさいで

→半夏厚朴湯は気滞と痰が合わさることで気の流れを強く邪魔します。気の流れが邪魔されているため、気分がふさぐようになります。半夏厚朴湯は気滞と痰のどちらにも働き、気の流れを本来あるべきところに戻すため、気分がふさぐ方に向いています。

 

咽喉・食道部に異物感があり

→気滞と痰があることで、気の流れを邪魔し、のど・食道のある胸のところで異物感を感じるようになります。半夏厚朴湯は気滞と痰の両方を取り除くことで、異物感も取り除きます。

 

ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う

→気が正常にめぐることができないと、ときに気が逆流することがあります。気の逆流が胸に影響を与えると動悸、頭に影響を与えるとめまい、胃に影響を与えると吐き気になります。半夏厚朴湯には半夏・生姜が入り、吐き気を抑える働きが強く、気の流れを改善することで動悸、めまいも緩和します。

 

不安神経症

→気滞と痰によって、気の流れが邪魔されていると不安になりやすくなります。気が正常にめぐっていないことが原因のため、厚朴が気をめぐらせ、半夏が痰をとることで不安な気持ちを鎮めてくれます。

 

神経性胃炎

→半夏厚朴湯は不安な気持ちを整える働きがあり、精神的な症状を和らげます。また半夏厚朴湯には半夏・茯苓・生姜の胃腸の働きを助ける生薬も入っているため、神経性胃炎に効果を発揮します。

 

つわり

→気の鬱滞が逆流することでつわりとなります。半夏厚朴湯には半夏・生姜の吐き気を抑える生薬が入っているため、つわりにつかうことができます。つわりの漢方薬に小半夏加茯苓湯があります。小半夏加茯苓湯は生姜・半夏・茯苓から構成されており、それに厚朴・蘇葉を足すことで半夏厚朴湯になります。

 

せき

→気の鬱滞、痰がのどで気の流れを邪魔することで、せきとなります。カゼひいたときの咳とは異なり、痰・気滞が原因のせきに有効です。

 

しわがれ声

→気滞、痰によってのどの気の流れを邪魔されるしわがれ声に半夏厚朴湯は向いています。実際には何かつまっていなくても、のどに異物感があることでしわがれ声に有効です。しわがれ声でも乾燥が原因のものには、潤す漢方薬の麦門冬湯が向いています。

 

のどのつかえ感

→気滞、痰がのど・胸で流れを邪魔することでつかえ感が生じます。実際にのどを見ても何か詰まっているわけではありません。それは漢方では気滞・痰が鬱滞している状態と捉えます。半夏厚朴湯がのど・胸の気の流れを改善し、つかえ感を解消します。

 

半夏厚朴湯が効かない理由は?

漢方薬は体質が合っていないと効果を発揮しません。半夏厚朴湯は気滞と痰によって気の流れが邪魔され、不安、つかえ感が生じた場合につかいます。気の高ぶりが原因であるときは釣藤鈎などの入った抑肝散や、気の鬱滞が強い場合は四逆散、柴胡加竜骨牡蛎湯などの柴胡の入った生薬をつかう必要があります。同じ症状であっても、状態・体質を見極めて漢方薬を選ぶ必要があります。

 

まとめ

 

半夏厚朴湯の働きについて、添付文書から解説しました。

 

半夏厚朴湯は気の流れを邪魔している気滞と痰をとることで「体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感」の効能効果があります。

 

 

 

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