灯心堂漢方薬局

【甘麦大棗湯】わかりやすい解説(かんばくたいそうとう)~神経過敏、夜泣き、ひきつけ

甘麦大棗湯

 

甘麦大棗湯の働きを添付文書の効能効果から掘り下げて、考えたいと思います。

 

薬局製剤の甘麦大棗湯の効能効果には

 

「体力中等度以下で、神経が過敏で、驚きやすく、ときにあくびが出るものの次の諸症:不眠症、小児の夜泣き、ひきつけ」

 

と記載されています。

 

不眠症、夜泣き、ひきつけまで幅広い効能効果です。

 

甘麦大棗湯がなぜこれらの効能効果があるのか、添付文書の意味がわかるように解説したいと思います。

 

ただし、商品によって効能効果は異なるので、ご購入の際は商品説明をきちんとお読みください。

 

構成

 

甘麦大棗湯は甘草・小麦・大棗から構成されています。

 

甘草・小麦(しょうばく)・大棗もすべて甘味の漢方薬です。

 

そのため、お子さんでも服用しやすい漢方薬です。

 

 

甘草

甘草

甘草は食品の添加剤にも応用されるほど甘い生薬です。

 

食品の裏の成分表示をみると、「カンゾウ」と記載されていることがあります。

 

食品にもつかわれる甘草ですが、医薬品としてつかわれる甘草は日本薬局方に記載されている純度試験や確認試験をクリアしたものが使われています。

 

甘草の甘味が急迫している症状を緩めてくれます。

 

小麦

小麦

小麦はこむぎのことです。

 

小麦が入った漢方薬は比較的めずらしく、日本の漢方で入っているのは甘麦大棗湯くらいです。

 

小麦も甘味があり、養心安神に働きます。

 

漢方でつかう小麦は精製されたものではなく、小麦の種子をそのまま使います。

 

小麦の効能効果は皮にあるといわれており、全体を使用します。

 

小麦の甘味が心を落ち着けてくれます。

 

大棗

大棗

大棗はなつめのこと。

 

大棗も甘味がとても強い生薬の1つです。

 

大棗は食品ではなつめとして、ドライフルーツとして食べられることもあります。

 

大棗も医薬品として使われる場合は純度試験などで検査されたものをつかいます。

 

大棗は通常は胃腸の働きを助ける意味合いで配合されることが多いのですが、甘麦大棗湯では安神目的で配合されています。

 

大棗の強い甘味で心を安らげます。

 

構成のまとめ

甘麦大棗湯は甘草・小麦・大棗すべて甘味の強い生薬から構成されています。

 

その甘味が急迫し、神経過敏で、精神が興奮しすい状態を緩めてくれます。

 

心の陰、肝の陰が不足していることで悲しみ、驚きが生じやすくなります。

 

甘麦大棗湯の甘味が陰を補い、潤し、肝・心の高ぶりを鎮めてくれます。

 

 

効能効果なぜ?

 

薬局製剤 甘麦大棗湯の効能効果には

 

「体力中等度以下で、神経が過敏で、驚きやすく、ときにあくびが出るものの次の諸症:不眠症、小児の夜泣き、ひきつけ」

 

とあります。

 

なぜこのような効能効果なのか考えたいと思います。

 

体力中程度以下

→甘麦大棗湯は甘味が強く、補う働きがある漢方薬です。体力充実している方の場合は余計に補うことになります。体力充実した方の神経過敏な状態であれば、鬱滞しているものがあるため、補うよりも鬱滞を追い出すようは漢方薬をつかう必要があります。体力中程度以下の広い方につかうことができます。

 

神経が過敏、驚きやすい

→五臓が陰が不足し、身体を養うことができていない状態のため、夜寝るときに不安が強くなるなど、ちょっとしたことでも体が反応しやすくなります。不安、悲しみ、驚きを和らげる余裕がなくなり、神経が過敏になります。甘麦大棗湯は甘味で潤し、過敏な状態を緩めてくれます。

 

ときにあくびがでる

→陰が不足した状態であるため、心を養うことができず、ぼんやりとし、あくびがでやすくなると考えられます。

 

不眠症

→漢方で考えると不眠症の原因にいくつかありますが、甘麦大棗湯の不眠は不安からくる不眠、ヒステックな神経過敏な方の不眠に適しています。甘麦大棗湯の甘味にて潤し、気持ちを和らげ、神経過敏を落ち着けます。

 

小児の夜泣き

→夜になって、不安からくる夜泣きは甘麦大棗湯が和らげます。甘麦大棗湯の甘味が神経過敏で不安な気持ちを落ち着けてくれます。

 

ひきつけ

→ひきつけの効能効果はありますが、原因がわかっているひきつけに関しては西洋医学の方が向いています。例えばてんかんが原因の場合は抗てんかん薬の方が効果的です。脳波など色々検査しても原因がわからず、対応する薬がないときには漢方薬を試してみてもいいかもしれません。甘麦大棗湯にひきつけの記載がある理由としては、甘味で気持ちを落ち着ける働きから大泣きや過度にびっくりすることを防ぐためと考えられます。また甘味が筋肉の拘急を緩める働きからきていると思われます。

 

甘麦大棗湯が効果がでるまでどれくらい?

甘麦大棗湯は頓服で服用することが多い漢方薬で、比較的速やかに効果がでる漢方薬の1つです。一般的に漢方薬は体質改善に使用する印象があると思いますが、甘麦大棗湯は強い甘味にて緊張を緩める働きがあるので、頓服でも服用できます。

 

 

甘麦大棗湯が効かない理由は?

 

漢方薬は体質が合っていないと効果を発揮しません。甘麦大棗湯は甘味で心や肝の過度な働きを和らげることで不眠や夜泣きに効果を発揮します。気の高ぶりが強かったり、不安の気の突きあがりが強かったりするときは抑肝散や桂枝加竜骨牡蛎湯などの別の漢方薬が向いています。

 

 

 

まとめ

 

甘麦大棗湯の働きについて、添付文書から解説しました。

 

甘麦大棗湯は甘味に特化し、心・肝の緊張を緩めることで「体力中等度以下で、神経が過敏で、驚きやすく、ときにあくびが出るものの次の諸症:不眠症、小児の夜泣き、ひきつけ」の効能効果があります。

 

 

 

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