漢方での心の働きとは?~動悸・息切れ・不眠・焦燥感・舌先の赤さなど~
心の働き
西洋医学では”心臓”、漢方では”心”といいます。
臓という言葉がついているか、いないかの違いがあります。
共通の働きもありますが、漢方の方が広い機能性をもち、広い意味でつかわれます。
西洋医学→心臓
漢方→心
西洋医学での心臓
心臓は血液を全身へ送るポンプの役割をしています。
1日に約10万回も血液を送り出し、全身へ血液を供給しつづけています。
漢方での心
漢方での心は血を送る働きだけでなく、意識などの精神活動での働きがあるとされています。
・血脈をつかさどる
心は血を生成し、心の拍動によって脈をつかさどっていることを示しています。
西洋医学の考え方とほぼ似ています。
心臓は血脈とつかさどると言っても違和感はないですよね。
・神明をつかさどる
神明とは精神・意識のことで、心が精神維持活動に関与しているという考えがあります。
心が失調すると、焦燥感、不眠、意識障害があらわれることがあります。
実際に海外では心臓を移植することで性格が変化する事例があり、心臓にも精神・意識があるように感じられます。
西洋医学の心臓では血液を送り出すポンプの役割がありますが、漢方においては広い意味でさらに精神・意識にも関連があります。
心の不調
心気虚
気虚というのは気が不足している状態です。
気はエネルギーであり、簡単にいえば心の元気がない状態です。
・胸騒ぎ
・不安
・息切れ
・汗がでる
・動くと悪化
心の気が不足している状態であるため、心が弱ったような症状があわられます。
心陽虚
陽虚というのは、陽気が不足している状態です。
陽気が身体を温め、身体を活発に動かしてくれます。
心気虚の症状にさらに追加で、
・手足の冷え
・舌質が淡
心の陽気という温める力が不足しているため、冷えなどの症状もともなってきます。
心血虚
血虚というのは血が不足している状態です。
血の不足は睡眠、精神症状へ影響を与えます。
・胸騒ぎ
・不安
・不眠
・多夢
血の不足は不眠につながりやすく、顔色もつやがなくなります。
心陰虚
陰虚というのは水が不足している状態です。
血虚では栄養の元となる血だけが不足している状態ですが、陰虚となると水すらもなくなってしまいます。
心血虚の症状に追加で、
・寝汗
・ほほの紅潮
・紅絳舌
心火上炎
心火上炎というのは、心に熱がこもり、上炎し、熱の症状が強くなっている状態です。
熱が強いため、熱に関する症状が多くみられます。
・焦燥感
・胸苦しさ
・顔面紅潮
・舌先が赤い
熱がこもっている状態を上炎と表現しています。
心に熱がこもっているため、不眠・焦燥感があらわれ、熱から顔の赤み、舌先の赤みへと症状があらわれます。