灯心堂漢方薬局

漢方での舌診の考え方~東洋医学での舌診について簡単に写真で解説します

舌診と五臓の関係

舌診とは?

舌診という言葉をあまり聞いたことがないかもしれません。

 

「舌者、心之苗也。五臓六腑之大主」といい、舌は五臓六腑の状態が反映されます。

 

東洋医学、漢方の世界では舌診は身体の状態を知るためにとても重要です。

 

ここでは舌診をわかりやすいように写真や表をみて、身近に感じてもらえるように解説したいと思います。

 

漢方での舌

舌が身体の内側を反映するのは不思議ではありませんか?

 

近くに鏡があれば、ご自身の舌をみてください。

 

鏡がなければスマホの画面を消して、暗くなったディスプレイに舌を反射してみてください。

 

どんな色をしていますか?白い?赤い?

 

苔は多いですか?苔はツルツルですか?

 

舌の張り感はどうですか?舌が小さくなっていないですか?

 

近くに人がいれば、見比べてみてください。一人ひとり舌の状態は異なっていると思います。

 

舌の違いは簡単にいうと状態の違いですし、体質の違いともいえます。

 

例えばカゼといっても、舌が白くみえているときと、赤くみえているときではつかう漢方薬も異なってきます。

 

お身体に合った漢方薬をご提案するためにも、舌診はとても重要です。

 

 

理想の舌

理想の舌は、舌に張り感があって、淡紅舌、淡紅色で全体的に薄く白苔(薄白苔)がみられるのが理想です。

理想の舌:適度な張り感、きれいなピンク色で薄く苔がある

理想的な舌はなかなか難しく、自分自身も健康に気をつけていますが、それでも歯形がついたり、苔が厚くなったりして、理想的な舌になることは難しいです。

 

上の写真が、淡紅色(淡紅舌)で薄く白い苔(薄白苔)がある状態です。

 

こちらの舌にさらに張り感とツヤがあるのが理想的な舌となります。

 

上の写真をイメージとして、このような色合いで、苔も薄く広くみられることがわかっていただければと思います。

 

舌の色

舌の色の違いについてみていきたいと思います。

 

舌の色については直感的にもわかりやすいと思います。

 

理想の色としては淡紅色、淡紅舌というピンク色です。

 

淡紅舌

淡紅舌、淡紅色
淡紅舌、淡紅色

 

淡紅色、淡紅舌といいますが、ピンクの色の舌が理想的です。

 

さらに張り感などもあれば、よても良い状態の舌です。

 

淡白舌

舌の色が白くみえると思います。

 

見るからに冷えている印象がありませんか?

淡白舌→陽虚(冷え)、血虚(血の気が少ない)

淡白舌という白い舌のときは、陽虚の冷えている方、血虚の血が不足して、舌の血の気がないと、舌が白くなります。

 

紅舌

舌が紅くみえるときは紅舌といいます。

 

見る方に、熱があるように見えませんか?

 

赤いときは熱がこもっていると考えられます。

紅舌→熱がこもっている

紅舌のときは、熱がこもっているため、熱によって身体の水分が焼かれ、舌に割れ目がみられたり、水分が少なくなり、舌自体が薄くなることも一緒にみられます。

 

暗紅舌、暗紫舌

舌の色が暗いような色をしているときに、暗紅舌(あんこうぜつ)、暗紫舌(あんしぜつ)といいます。

 

舌の色が暗い色をしているときは、血のめぐりが悪い(瘀血)ことが多いです。

暗紅舌、暗紫舌→血のめぐりが悪い(瘀血)

写真をみても、舌の色が紅色ではなく、やや暗い色をしているのがわかりますか?

 

ちょっとした色の違いなので、わかりにくいと思いますが、ほかの舌と比べると暗い、黒いような印象です。

 

舌は血の流れの盛んな部位であり、それが暗い色になっているので、血のめぐりが悪いと考えられます。

 

 

舌の苔(舌苔)の色

漢方では舌の苔のことを舌苔(ぜったい)といいます。

 

最近では舌の苔をとるブラシもありますが、漢方では苔は身体の内側の水分の量を反映しています。

舌の苔は水分の量!

つまり、舌の苔が多い時は、身体にそれだけ水が溜まっています。

 

反対に舌の苔がツルツルだったり、舌がひび割れたりするのは、水が不足している状態(陰虚)です。

 

苔の理想的な苔の量は薄く全体的に広がっている状態です。

 

苔が多いと水が溜まり、苔がないときは水が足りていません。

 

白苔

白苔とは、舌に白い苔がみられる状態のことです。

 

白苔があることは写真でみるだけでもわかりますよね。

 

白苔も重要ですが、苔の形状(べっとり、粒立っている)、舌の張り感などの情報も重要です。

 

上記の写真のように、白苔といっても、苔の形状、舌の色、形もそれぞれ異なります。

白苔は水がたまっている証拠!

舌の色、形から水が溜まっている要因を考察する必要あり

白苔は水が多い状態です。

 

漢方では水が溜まっている背景を考える必要があります。

 

白苔があっても、人によって舌の形、色が異なりませんか?

 

気の不足、陽虚から水を追い出す力が弱っているときは、気や陽気を補う必要があります。

 

粘っこい苔、ベタベタ苔があるように、水から痰湿というヌメリに変わってきているときには、ヌメリに対応した漢方薬をつかう必要があります。

 

白苔と一言でいっても、形状なども重要になってきます。

 

黄苔

黄苔、黄膩苔
黄苔。苔が黄色いのがわかります。

 

黄苔は黄色い苔のことです。黄色い苔は熱の性質をもっています。

 

苔があるのは水が停滞しており、黄色く熱を帯びてくると、湿熱という湿気と熱の性質のどちらも持つことになります。

 

写真でみても、苔が黄色いのはわかりますね。

黄苔は熱がこもっている状態!

湿と熱が合わさっているので、どちらも一緒に対応した漢方薬をつかっていきます。

 

黒苔

黒苔は黒い苔のことです。写真はありませんが、苔が黒くみえることがときどきあります。

 

黒い苔は漢方では、極まった状態と考えます。

 

熱が極まってくると、黒苔になっていきます。

 

反対に冷えていても、冷えが極まると黒苔になることがあります。

 

黒苔のときは、何が極まった状態なのか判断し、対応していく必要があります。

黒い苔は何かしたの不調の原因が極限になっている状態!

 

微黄膩苔、灰苔

舌苔をみていると、白苔ほど白くないし、黄苔ほど黄色くない方が多くいます。

 

それらは汚れ、濁がたまっている状態です。

 

白いシャツを何度も選択すると、黄ばんできますよね。

 

それと同じように、汚れがたまってくると薄い黄色、灰色のような苔になります。

微黄色の苔、すくんだような灰色の苔は汚れがたまってきている!

微黄色の苔や微灰色の苔は濁がたまり、白苔ではなく、色がくすんできている、色が黄ばんできていると考えられます。

 

そのようなときは濁をとる漢方薬をつかう必要があります。

 

乾いた苔

舌に苔があるのは、水がたまっている証拠といいましたが、苔をよくみると乾燥している苔もときどきみられます。

 

水が溜まっていることと、乾燥していることは反対の状態です。

 

反対の事象でも漢方では同時に生じることがあります。

 

乾いた苔のときは、潤しながら、ヌメリを取るような漢方薬をつかう必要があります。

 

舌苔の形状

舌苔の色の違いをみていただいたと思いますが、苔もそれぞれ形状に違いがあるようにみえませんか?

 

苔をよくみると、粒粒していたり、べっとりしていたりと、苔の形状も人によって異なります。

 

舌の形状について粒だっているタイプと、べっとりタイプにわけて解説します。

 

顆粒苔

顆粒苔というのは、苔が顆粒状に1つ1つ粒だっている状態のことです。

 

気の停滞があると、苔が粒立ちやすくなります。

顆粒状に、苔が粒だっているときは気の鬱滞!

写真の苔を拡大して見てください。苔が1粒1粒ごとに見えると思います。

 

苔が顆粒状に粒立つのにもエネルギーが必要になります。

 

気の停滞があると、苔が粒だって見えるようになります。

 

めぐりの悪い気が苔に反映され、苔が固く粒立ってきます。

 

そういった場合には気をめぐらせる必要があります。

 

また写真の舌全体をみると、舌に力が入っているように見えませんか?

 

気の停滞があることで、力みやすく、力を抜くことができていないように見えます。

 

 

膩苔

微黄膩苔中央に少し割れ目がある
微黄膩苔中央に少し割れ目がある

膩苔はべっとりと厚い苔のことです。

 

苔がべっとりしているのは、単純に水が多いだけでなく、苔が粒立つだけのエネルギーがないと、べっとりしてきます。

 

気の停滞が少なく、気の粒立つだけでの元気がない場合は、苔がべっとりしてきます。

 

気が不足して下痢しやすい方はベットリ苔になりやすいです。

膩苔、ベットリした苔は気が不足し、水がたまっている

写真をみても、一部粒だっているようにみえるところもありますが、中央はべっとりしています。

 

気が不足し、苔が固まらず、軟らかい状態でべっとりします。

 

舌全体の形をみても、締まりがなく、ぼてっとした舌であり、舌の形からも気の不足がうかがえます。

 

苔がない、裂紋

無苔、裂紋

無苔裂紋
無苔裂紋。身体の潤いがないため、苔がなくなり、さらに舌も乾燥して、われてきていています。

 

舌の苔は水をあらわしているといいましたが、反対にうるおいが足りないと、苔がなくなり、舌も割れ目ができます。

 

舌に苔がないのは、身体の潤いが不足している証拠です。

 

苔がなく、さらにうるおいが不足すると、舌自体も割れてきます。

苔がない、舌が割れているのはうるおい不足

一般的には舌に苔がないときれいといわれますが、漢方で考えると薄く白い苔がみられるくらいが理想の舌となります。

 

苔の量は水の量です。苔がないということは、身体の潤いがないということ。

 

身体の潤いがなくなると、苔だけでなく、舌も乾燥してくるため、舌が割れてきます。

 

漢方では舌の割れ目のことを裂紋といいます。

 

このような場合は潤す漢方薬を中心に使っていきます。

上の写真は同じ方の舌の写真です。

 

舌に張り感がなく、割れ目がたくさんがあるのが、漢方薬を服用する前です。

 

潤す漢方薬を1か月間服用していただきました。

 

すると舌に張り感がでて、割れ目も目立たなくなってきているように見えませんか?

 

苔があるところとないところがある(地図状舌)

地図状舌 苔のあるところとないところがある
地図状舌 苔のあるところとないところがある

 

舌の苔が水の停滞を意味し、苔がないところが潤い不足です。

 

それらが同時に生じると、地図状舌といって、苔が剥離した舌になります。

 

原因は様々ですが、周期的に嘔吐することで身体の潤いがなくなって苔が剥離したり、熱病によって身体の水分が焼かれることで苔の一部がなくなることがあります。

 

どちらにも言えることは、潤いがない部分と、潤いがある部分が同時に身体のなかで存在しているということです。

 

苔があり、裂紋

身体の臓腑の潤い不足の場合

 

裂紋があるときは臓腑が乾燥している状態です。

 

それに対して、舌の苔があるときは水の停滞がある状態です。

 

裂紋があるときは、毎回苔がないわけではありません。

 

実際には苔があって、一方で舌の割れ目(裂紋)があることもよくみられます。

 

舌は「舌者、心之苗也。五臓六腑之大主」といい、舌は五臓六腑の状態を反映します。

・舌の苔がない→身体に潤いが足りていない

・舌自体に割れ目がある→身体の臓腑の潤いが足りていない

舌の苔は比較的表の潤いと関連し、舌自体は身体の内側の五臓六腑の潤いを反映します。

 

舌の苔もべっとりとしていますが、舌の中央は少し割れています。

 

例えば、慢性的な下痢によって胃腸の本来のうるおいがどんどん削られていきます。

 

下痢によって胃腸のうるおいが損傷すると、舌の中央に割れ目がみえてきます。

 

下痢があるということは、胃腸に水が多い状態なので、舌の苔はべっとりしています。

 

表では下痢で水が溜まっているので、苔が多い。内面では、下痢によって臓腑(脾陰)が傷ついているので、うっすら割れ目がみえてきます。

 

下痢でなくても、身体の内側の臓腑が弱り、乾燥していることもよくみられます。

 

気の不足によって、陰を消耗し、舌に割れ目ができます。

 

写真をみると、舌に張り感がなく、白く、冷えています。

 

身体が弱っているため、身体の内側の臓腑が傷つき、乾きが生じます。

 

妊活の方によくみられ、身体の内側から養っていく必要があります。

 

 

邪が内陥した場合

裂紋内陥
裂紋内陥。痰湿というヌメリが身体の内側に落ち込んでいくと、内側に引っ張られるように裂紋ができる。

 

裂紋がみられるときは、身体の内面の乾きが反映されていることが多いのですが、それ以外にもみられる時があります。

 

痰湿というヌメリが身体の内側に入り込んでいくと、身体の内側に落ち込んで、それに引っ張られるので、舌に割れ目ができます。

 

身体の内側に腫瘍ができているイメージです。

裂紋→邪、たまっているものが内側に入り込んでいるときもある

できものが身体の内側に入り込んでいくときに、舌に割れ目ができることがあります。

 

上の写真は舌の苔もあって、その一方で舌に裂紋があります。

 

この写真の場合は、痰湿というヌメリが身体の内側に入り込んでいき、それをあらわすように舌が割れています。

 

身体の内側にできものがあるときに、このような舌の割れ目がみられることもよくあります。

 

歯痕(歯形がつく)

歯痕(しこん)とは歯形のこと。

 

舌の縁に歯形がついている状態です。

 

一般的には、歯形がつくのは水の停滞があるときです。

 

水が溜まり、舌がむくんでいるので歯形がつきやすくなります。

 

実際には水が溜まっているだけでなく、気の不足も同時に存在していることが多いです。

 

気血が充実し、舌先まで気をしっかり行き渡らせることができれば、舌に張り感がでて、歯形がつきにくくなります。

 

気が満ちることで舌の形を維持できています。

 

気が不足していると、舌に気が満ちていないため、歯の圧迫に負けてしまい、歯形がつきやすくなります。

歯痕(歯形)→気虚と水滞がみられる

また気の不足は、水のめぐりにも関係しています。

 

気が不足していると、身体の余分な水を追い出すことができなくなり、むくみやすくなります。

 

舌でみても、身体全体でみても、気の不足と、水の停滞に関係があることがわかります。

 

瘀点(おてん)

瘀点(おてん)は、血のめぐりが悪い時(瘀血)があるときに、舌にくすんだ色の点がみえるようになります。

 

写真を拡大すると、白い丸のなかにくすんだ色の点がみえませんか?

 

真っ黒ではなく、褐色の点です。

 

血のめぐりが悪いと、このように暗い色の点がみられるようになります。

 

いわゆる瘀血の状態です。

 

舌の裏

舌の裏。静脈が怒張し、血走っているのがみえる
舌の裏。静脈が怒張し、血走っているのがみえる

 

身体のなかに瘀血、痰湿がたまり、それが舌の裏へ圧迫すると、血管が押され、舌下静脈がみえるようになります。

 

瘀血ということが多いですが、単純に身体の内側に舌を圧迫するものがあると考えられます。

 

圧迫するものが瘀血や痰湿であることが多いです。

 

舌の張り感、引き締まり感

舌の写真をみていると、ぼってりした舌と、ギュッと引き締まった舌があるように感じませんか?

 

ぼってりと大きい舌、反対に引き締まった細い舌。

 

理想としては、ぼってりもなく、引き締まりすぎず、きちんと張り感のある舌が理想です。

 

ぼってりした舌と、ギュッと引き締まりすぎた舌の違いを解説します。

 

ぼってり舌(胖大舌)

気には引き締める働きがあります。

 

加齢によって気が弱ってくると身体の締まりがなく、たるんだ身体になると思います。

 

気が不足して、たるんだ状態になるのは舌も同じです。

 

気の不足から、締まりがなく、ぼってりした舌になっていきます。

 

どちらの写真も舌がぼってりと大きく、締まりがないのがわかりますか?

 

気が舌を引き締めるのですが、気が不足し、締まりのない舌になっています。

 

ぼってり舌→気の不足から舌の締まりがなくなっている

気が足りず、締まりのない舌を胖大舌といいます。

 

このようなときは気を補う漢方薬をつかいます。

 

 

固く、つまった舌

気が足りないと、舌が締まりがなく、ぼってりしてきます。

 

反対に滞りが強く、つまっているものがあると舌は強くギュッと引き締まってきます。

 

ものが溜まり、流れが遮られ、過剰になると、舌がギュッとなります。

 

写真をみても、舌が固く詰まっているように見えませんか?

 

舌の出し方の問題と思われるかもしれませんが、このような方は気の詰まりがあるため、舌の力を抜くのが難しい方が多いです。

固く、詰まった舌→気の鬱滞、何か邪魔しているものがある

気や邪実の詰まりから、舌が固く、過度に引き締まった舌になります。

 

このようなときは気をめぐらしたり、邪実を追い出す漢方薬をつかいます。

 

舌がふるえる

舌を出したときに震える方がときどきみられます。

 

舌が震えるということは、舌を動かすための気の流れにムラがあるといえます。

 

気の停滞や気の巡りが悪いと、気が順調に流れないため、舌が震えることがあります。

 

筋肉が震えやすかったり、精神的にも急に落ち込んだり、急に怒ったりする方は、気の流れにムラがある状態のため、舌が震えやすくなります。

 

漢方ではそういった状態を風に例えられることもあります。

 

舌のゆがみ(歪斜舌)

ゆがんだ舌 舌をまっすぐ出せていない
ゆがんだ舌 舌をまっすぐ出せていない

 

舌をまっすぐ出せない、舌が右か左に偏っている方をときどきみられます。

 

身体に麻痺性のものがあるとみられることが多いです。

 

麻痺があるということは筋肉のこわばりがあるということ。

 

筋肉のこわばりは舌にも反映されるため、舌をまっすぐだせなかったり、ゆがんだ舌になったりします。

 

舌の部位の違い

舌診と五臓の関係

舌を細かくみると、五臓にわけられます。

 

舌先は心・肺の領域、舌の中央は脾胃という消化吸収に関する臓腑、舌の縁は肝の領域、舌の根元は腎の領域です。

 

それぞれの部位と不調は相関があります。

 

そのなかでもよくみられるのが、舌先の赤みと、舌の縁のツルツル舌なので、その2つについて説明します。

 

舌先が赤い

舌先は漢方では心・肺の領域になります。

 

その部位が赤いのは、心・肺に熱がこもっていると考えられます。

 

やや舌先が赤い
やや舌先が赤い

 

心に熱がこもっている場合は、熱を冷ます漢方薬をつかいます。

 

肺に関する症状と、舌先の赤みがある場合は、肺の症状に対応した漢方薬をつかいます。

 

 

舌の縁の苔がない、舌の縁がツルツルしている

舌の縁は肝の領域になります。

 

漢方での肝は、西洋での肝臓と異なります。

 

漢方での肝には様々な役割がありますが、その中の1つに血を蓄える働きがあります。

 

肝は血を蔵します。

 

血の縁に線が入ったり、亀裂が入ったりするのは、肝の血が不足していると考えられます。

舌の縁はあまり注目することはないかもしれませんが、漢方では蔵血の肝がつかさどる領域です。

 

舌の縁を凝視すると、うっすらと線が入っていたり、苔がなく、ツルツルしたようになっているときは血虚の可能性が考えられます。

 

気虚の舌

気には引き締める働き、温める働きがあります。

 

また気があることで水を追い出す働きもあります。

気虚に特徴的な舌
・ぼってりした締まりのない舌
・温める力が弱い白い舌
・苔がべっとりタイプ
 
 

気滞の舌

気はエネルギーです。気があることで、締まりがでてきます。

 

気が過剰になったり、気の詰まりがでてくると、過度に引き締まります。

気滞に特徴的な舌

・舌が固く、過度に引き締まっている

・苔をよくみると、1つ1つ粒だっている

 

 

血虚の舌

血虚は血の不足のため、舌に血の気がなくなります。

 

また血は肝と関わりが強く、中央には苔が多いのに、舌の縁は苔がツルツルになります。

血虚に特徴的な舌

・舌、口唇が血の気がない色

・舌の縁が苔がなく、割れ目があったり、ツルツルしている

 

瘀血の舌

瘀血は血のめぐりが悪いこと。

 

血のめぐりが悪いので、それにともなって色が全体的に黒ずんできます。

瘀血に特徴的な舌

・舌の色が暗紅、暗紫色

・瘀点がみられる

・舌の裏が黒く怒張している

 

陰虚の舌

苔の量は水の停滞をあらわします。

 

苔がなければ、身体の潤いが不足しています。

 

さらに舌自体が割れてきているときは、臓腑も乾燥してきています。

陰虚に特徴的な舌

・苔が少ない、苔がない

・舌が割れてきている

・苔があっても、一部割れている部分があれば、局所的に陰虚がある可能性がある

 

水滞、痰湿

水は苔の量に反映されます。

 

苔が多い時は、水の停滞があります。

 

水の停滞でも、さらっとした水と、粘性のあるべっとりした水(痰湿)とではつかう漢方薬もかわってきます。

 

水滞、痰湿に特徴的な舌

・苔が多い

・歯痕、歯形がみられる

 

 

まとめ

舌の色

・淡紅舌→理想的。冷えにも熱にも偏っていない

・淡白舌→冷えている(陽虚)、血が少ない(血虚)

・紅舌→熱がこもっている

・暗紫舌、暗紅舌→血のめぐりが悪い(瘀血)

 

舌苔(苔は水の停滞)

・薄白苔→理想的。薄く白い苔。

・白苔→水がたまっている

・黄苔→水と熱が合わさっている

・黒苔→不調の要因の何かしらが極まっている

・微黄膩苔、灰色の苔→汚れ、濁がたまっている

 

苔の形状

・粒粒した顆粒苔→気滞

・べっとり苔→気虚

・苔がない、裂紋→うるおい不足(陰虚)

・苔があるところ、ないところがある(地図状舌)→局所的に身体の潤いが不足しているところがある

・苔がある、裂紋→水の停滞と五臓の乾きのどちらもある、痰湿などの邪が内陥している

 

瘀点、舌下静脈怒張

・瘀点、舌下静脈怒張→血のめぐりが悪い(瘀血)

 

舌の張り感、固さ

・舌がぼってり→気が不足し、締まりがない(気虚)

・舌が固くなっている→気滞や邪によってものが詰まっている

 

ゆがんだ舌

・歪斜舌→筋肉のこわばりが舌にも影響している

 

舌の部位

・舌先→心・肺。赤いときは心か肺に熱がこもっている

・中央→脾胃。割れているときは脾陰が弱っている。

・舌縁→肝。苔がないときは肝血不足

・舌の奥→腎。腐苔がたまることがある

 

 

 

 

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