灯心堂漢方薬局

遠志(おんじ)の血液検査、糖尿病への影響は?~糖尿病を悪化するわではありません

遠志と血液検査との関係

 

 

遠志(おんじ)とは生薬の1つです。

 

遠志が入った漢方薬をみると、次のように記載されています。

 

「本剤(オンジ)により、糖尿病の検査値に影響を及ぼすことがあります。」

 

血糖値があがるのではないかと、心配になりますよね。

 

結論を先にいうと、オンジは糖尿病には影響はありません。糖尿病の血液検査のある数値にだけ影響を与えます。

 

詳細について、説明します。

 

遠志とは?

 

遠志とは、帰脾湯、加味帰脾湯、人参養栄湯に入っている生薬の1つです。

 

遠志には安神作用があり、精神不安などの方に多くつかわれます。

 

最近では遠志は「中年期以降のもの忘れの改善」にもつかわれています。

 

遠志の効能効果について、2000年以上前に書かれた『神農本草経』には「耳目聡明不忘」と書いてあり、「不忘」とあることから商品化されたのではないかと思われます。

 

遠志は認知症に効くの?

 

遠志が認知症に効くかどうかは、『遠志の恵み』という商品で「本剤の効能・効果「中年期以降の物忘れの改善」は、加齢による“正常な物忘れ”のことであり“認知症による物忘れ”ではありません。」」と説明されています。認知症の物忘れを意味しているのではなく、中年期によくみられる物忘れのことを指しているということです。

 

 

遠志の血液検査への影響は?

 

遠志の服用によって、1,5-AGの検査値が良くなります。

 

遠志と、糖尿病の検査によくつかわれる血糖値やHbA1cには影響はありません。

 

遠志が入った漢方薬を服用していたからといって、糖尿病になったり、糖尿病と診断されたりすることはありません。

 

糖尿病の検査値としてつかわれる血糖値、HbA1c、1,5-AGについて説明します。

 

血糖値

血糖値というのは、血中の血糖値を測定し、空腹時の血糖値が126mg/dL以上だと高いといわれます。

 

血糖値は食事の影響を受けやすく、食後にすぐ高くなります。

 

そのため健康診断のときは、朝ご飯を食べないようにとわれることが多いです。

 

別の言い方をすれば、ご飯を抜けばすぐに下がる数値でもあります。

 

検査したときは血糖値が低くても、普段は血糖値が高い可能性があります。

 

そのため糖尿病の診断にあたっては、次に説明するHbA1cも一緒につかわれます。

 

HbA1c

HbA1cはヘモグロビンA1cといわれます。

 

ヘモグロビンは赤血球のなかにあるタンパク質で、血糖値の上昇にしたがってブドウ糖とヘモグロビンがくっつきやすくなり、その割合を測定することで糖の状態をみます。

 

一度ブドウ糖とヘモグロビンがくっつくと外れることはなく、ヘモグロビンが分解されるまで続きます。

 

この性質からHbA1cは1~2か月の血糖値を反映するといわれています。

 

血糖値は検査の前に食事を抜くことで数値がすぐに下がりますが、HbA1cは数日の食事の影響で変化しにくいです。

 

診断基準にもよりますが、HbA1cは5%後半から高いといわれることが多くなります。

 

血糖値とHbA1cがよく血液検査でみられる数値です。

 

これらの検査値と遠志は関係がありません。

 

1,5-AG

遠志と関係しているのはこの数字です。

 

1,5-AGは食後高血糖を表す検査値として用いられます。

 

1,5-AGは食事から吸収する量と、尿として排出される量がほぼ一定のため、通常であればほとんど変化がみられない検査値です。

 

しかし1,5-AGの数値が変化するときがあります。

 

それは尿に糖がでたときです。

 

1,5-AGと糖のグルコースは似たような形をしており、尿に糖がでたとき1,5-AGが糖に邪魔され、再吸収されず、血中の1,5-AGの量が少なくなります。

 

尿糖あり→1,5-AGが下がる

尿糖なし→1,5-AGは高いまま

 

尿糖はない方がいいので、1,5-AGは高い方が良い数値となります。

 

血糖値、HbA1cは高いと糖も多いので低い方が良いのですが、1,5-AGに関しては高い方が尿糖がないため良い数値となります。

 

実は1,5-AGが遠志に大量に含まれています。

 

遠志に1,5-AGが大量に入っているため、遠志を服用することで1,5-AGが高くなりやすくなります。

 

1,5-AGの検査をするときは、遠志を含んだ漢方薬を服用することで正確な数値がわからなくなります。

 

「本剤(オンジ)により、糖尿病の検査値に影響を及ぼすことがあります。」と記載されているのはこういった理由です。

 

 

 

ただ1,5-AGは健康な方が急に検査するということはあまりない検査値です。

 

 

糖尿病の診断のうえで最初にみられる数値があり、

 

・空腹時血糖値が126mg/dL以上

・ブドウ糖負荷試験の2時間後の血糖値が200mg/dL以上

・随時血糖値(食事を気にせず測定)が200mg/dL以上

・HbA1cが6.5%以上

 

などがまず見られます。

 

こららの数値や、その他の状況から総合的に診断に至ります。

 

1,5-AGがどういったときに検査されるのかは、こちらのサイトを参考にしてください。↓

1,5-AGと食後高血糖 | 茅ヶ崎の糖尿病専門医 【やまもと内科クリニック】 (yamamotonaika.net)

 

 

遠志(おんじ)は糖尿病を悪化する?

遠志が糖尿病を悪化するわけではなく、検査値に影響を与えるだけです。その検査値も数値が悪くなるのではなく、みかけ上の数値が良くなる方向に変化します。

 

 

 

 

 

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