エビデンスのある漢方薬~効果があることがわかっている漢方薬もあります
漢方薬のエビデンス
漢方薬って本当に効くの?長く飲まないと効果が出ないの?と疑問に思う方も多いと思います。
実際、漢方薬は同じ症状であっても体質によって薬を選ぶため、症例の集積が難しいのが実情です。
例えば頭痛というキーワードだけでも該当する漢方薬は15種類以上あります。
1つの症状でもそれに対する漢方薬の種類が多いため、データを集めづらいのです。
以前は漢方薬のデータ統計が進んでいないところもありましたが、最近はデータが集まり、エビデンスが確立しているものも増えてきています。
ここではエビデンスが集まってきているものについて紹介したいと思います。
慢性頭痛、偏頭痛
偏頭痛に関するエビデンスです。
呉茱萸湯を服用してもらい、頭痛の重症度、頻度、冷え、月経痛、肩こりに改善のみられた患者さんに二重盲検ランダム化比較試験を行ったところ、有意差をもって頭痛の発症日数・痛み止めの使用量の低下がみられています。
ほかに釣藤散も症例集積研究として、慢性頭痛に対して74.1%の改善、慢性緊張型頭痛に対して94.0%の改善があっとの報告もあります。
いぼ(医学的には疣贅(ゆうぜい))
いぼにも漢方薬はよく使われます。”いぼは医学用語では、難しい言葉ですが、疣贅(ゆうぜい)といいます。
イボに関するエビデンスです。
ヨクイニンエキス錠・散の通常量を使用した場合、尋常性疣贅の改善率は81.5%、扁平疣贅の改善率は78.5%もあったと報告があります。
とくに年齢が低い方が効果があるといわれています。
こむら返り
こむら返りというのは足がつることです。
足がつったときに対する漢方薬のエビデンスです。
そういったときに芍薬甘草湯がつかわれることがあります。
透析患者のこむら返りに対して頓服で芍薬甘草湯を服用した場合、88.5%有効という報告があります。
糖尿病患者のこむら返りに対し、芍薬甘草湯がつかわれた場合、90%の改善がみられたと報告があります。
以上にエビデンスが集まってきているものを紹介しました。
呉茱萸湯の研究からもわかるように漢方薬はすべての人に効果があるのではなく、状態をみて、その人に合った漢方薬がつかわれれば効果があります。
西洋医学の薬ではこむら返りに効く薬はなくても、漢方薬は効くというものもあり、漢方薬の可能性が垣間見えます。
漢方薬もちゃんと効果があり、これからさらに作用のメカニズムなどがわかってくると思います。